緒方監督が“ミスター赤ヘル”山本浩二氏を超える時

2016年10月26日 10時00分

日本シリーズ第2戦、ソロ本塁打を放ったエルドレッド(手前)にベンチで万歳する緒方監督

【赤坂英一「赤ペン!!」】広島が2連勝した日本シリーズ、このまま優勝すると、緒方監督は古葉竹識氏以来、球団史上2人目の日本一監督となる。25年ぶりの優勝監督というだけでも歴史的殊勲だったが、日本一の功績が加われば監督としては“ミスター赤ヘル”山本浩二氏を超えるのだ。

 

 第1戦では、名将への道を歩む青年監督らしい積極果敢な采配を見せた。2回一死一、三塁で石原にセーフティースクイズのサインを出して失敗した直後、今度は重盗を敢行して三走・鈴木が先制のホームイン。きっちりと初戦をものにしている。

 

 緒方監督は采配を自画自賛せず、「成功するしないは別にして、コーチにしっかりと作戦を選手に伝えてもらっているということ」と伝達役の高ヘッド、河田三塁コーチを称賛。そうしたコーチ陣との連携が、緒方監督のタクトを支えている。

 

 最初からこれほど采配がズバズバ当たっていたわけではない。緒方監督の初陣だった昨季の開幕戦では、アウトのタイミングだったにもかかわらず、ベンチから石井三塁コーチ(現打撃担当)に「(腕を)回せ!」と大声で指示。サヨナラの走者を殺してしまい、敗れたあとのミーティングで、「石井に責任はない」とチームの全員に話した。重盗が続けて失敗すると、一部首脳陣から「むやみと走らせ過ぎ」と批判の声が上がったこともある。

 

 そんな監督就任1年目に味わった苦労や葛藤の数々が、いま最高の形で報われようとしている。恐らく、松田オーナーも胸を高ぶらせているはずだ。現役時代から手塩にかけて育て上げ、FA資格を取得した1999年には巨人などから熱烈なラブコールを送られる中、懸命に説得して慰留に成功。球団史上32年ぶり2人目の日本一監督になろうとしているのだから。

 

 気がかりがあるとすれば、土壇場にきて勝ちを焦るあまりの采配ミスか。ちなみに、91年の日本シリーズでは広島が3勝2敗と先に王手をかけながら、第6、7戦に連敗して西武に日本一をさらわれた。1―1の同点で迎えた第6戦の6回、第7戦先発予定だった川口和久をつぎ込み、一挙5点を献上したのが最大の敗因である。山本監督、痛恨の継投ミスだった。

 

 緒方監督はリリーフ陣について、「それぞれの役割をきちんと果たしてくれている」と評価している。25年前と同じ轍を踏むことはないか。