高校野球秋季東京都大会は23日、ダイワハウススタジアム八王子で3回戦の早実―片倉戦が行われ、早実が12―2の5回コールドで勝利。早実の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(2年)は「3番・一塁」で先発出場し、2打数1安打1打点2四死球の内容だった。

 清宮は初回の第1打席、片倉の横手投げ左腕・森田(2年)のスライダーに空振り三振。公式戦では昨秋2回戦の二松学舎大付戦以来約1年ぶりとなる三振に倒れた。

 森田がサイドスローに転向したのはわずか3週間前の秋季大会の組み合わせ発表後。公式戦の先発は初めてだ。片倉の宮本監督は「本人には言ってないけど(日本ハムドラフト1位の)広島新庄の堀くんのイメージ。ヒジを下げさせて“これ用”にインコースに投げる練習を繰り返させた」と“対清宮”の秘密兵器だったことを明かした。

「去年の秋、今年の春、夏と早実が負けた試合は全部左。しかも秋こそ(巨人ドラフト6位の)大江くんという本格派でしたが、春夏は球速のない軟投派。うちも絶対的エースがいますが、清宮用に左腕を育ててます。それでも極端な話、最後は歩かせればいいだけのこと」とは東京都のある強豪校監督。これまでの敬遠策や“清宮シフト”に加え、各校が“対清宮左腕”の育成に取りかかるなど、包囲網は狭まるばかりだ。

「相手のピッチャーの方が変則的で(ボールの)出どころが見えづらかった。うまくカウントを取られてしまった」と三振を振り返った清宮は「今までと違ってみんなも打ってくれて、コールドで勝ちきれた」とチームメートに感謝。「一つひとつ勝つにつれて甲子園に近づいてるけど、自分たちの野球は変わらない。また1週間、モチベーションを保たないと」と次戦を見据えた。この先の包囲網もかいくぐれるか。