巨人のドラフト1位指名を受けた吉川尚輝内野手(21=中京学院大)の強心臓ぶりは本物だ。吉川の家族がまさかの幼少期の“武勇伝”を披露。「あの気持ちの強さがあれば、プロでもやっていけると思う」と太鼓判を押すその仰天エピソードとは…。

 ドラフト会議から一夜明けた21日、吉川は東海地区大学野球秋季選手権大会(三重・伊勢)の皇学館大戦に「3番・遊撃」で出場。3打数無安打に終わったが、四球で出塁した6回に三盗を決め、持ち味の快足を披露した。試合は3―4で敗れ、この日で大学野球生活が終了。「あっという間の4年間だった。いろんな方に感謝したい」と悔しさをにじませながら振り返った。

 いよいよ厳しいプロ野球界でチャレンジすることになるが、スタンドから試合を見守った家族によると、吉川は大の負けず嫌いで、その性格はプロ向きだという。5、6歳の保育園時代のこと。岐阜・羽島の自宅から約20キロも離れたスーパーへ家族と車で買い物に行った際、店内で迷子になってしまった。

 必死に家族で1時間ほど周囲を捜し回ったが、吉川が発見されたのはなんとスーパーから2~3キロ離れた路上。母・陽子さん(51)は「もう夕方で暗くなりかけていたのに、泣くこともなく、1人で自宅方面へ向かって歩きだしていたんです」とその強心臓ぶりを明かす。父・好(このむ)さん(58)も「親ながらびっくりです。普通の子ならどこかで泣きだしていたり、迷子で保護されたりするものなのに…」と感心するばかりだ。

 ほかにも兄・圭太さん(25)によれば「たとえゲームでも弟はとにかく負けん気が強い。トランプの大富豪でも自分が勝つまでは絶対にやめず、究極の負けず嫌いなんです」と舌を巻いている。

 将来的な個人の目標を問われた吉川は「盗塁王とゴールデン・グラブ賞を取れるような選手になりたい。巨人なら引退した鈴木選手のような相手から嫌がられるような走塁をしていきたい。息の長い、記憶に残るような選手になりたい」ときっぱり。究極の負けず嫌い男が巨人に新風を吹かせる。