巨人 ドラ1「創価大・田中投手」急転公表の舞台裏

2016年10月20日 11時30分

坂本(左から2人目)の練習を見守る由伸監督。いよいよドラフトデビューだ

 巨人が急転直下、ドラフト1位指名選手を公表した。ドラフト会議前日の19日、東京都内の球団事務所で本番前最後のスカウト会議が開かれ、1位候補について、創価大・田中正義投手(22)に一本化。会議後、堤GMが「明日(20日)は田中投手でいきます」と公言した。舞台裏で何が起きたというのか。元スカウトで本紙評論家の得津高宏氏には、どうにも気になることがあるという。

 前日も開かれた会議では結論が出ず、山下スカウト部長は「1位(候補)に関しては3人。名前は言えないけれど、大学生」とだけ明かしていた。田中に桜美林大・佐々木、明大・柳を含めた3投手の中から「監督とも意見交換して、当日に決めようと思う」(同部長)としていたが、この日になって一転、電撃公表に踏み切った。

 堤GMは「3人に関してメリット、デメリットについて話し合ったが、(田中は)投手としての力、野球選手として持っている能力が高い。競合してでも獲りたい選手」と説明。高橋由伸監督にも報告し、承諾を得たという。

 本番前日の公表となった理由について、同GMは「みんな(報道陣)が聞きたいというからね」とけむに巻いたが、ドラフトは12球団の心理戦だ。アマ球界ナンバーワン評価の田中については、巨人以外に、ロッテと広島も1位指名を公表。ほかに数球団の参戦が予想されており、ライバルをけん制する戦略上の理由もあったとみられる。

 だが、得津氏は「巨人のスカウトは、指名選手を当日朝の会議で決めるのが伝統。私としては違和感を覚えますね」とすると、別な視点でこう指摘した。
「日本ハムの動向が気になります。ここはその年一番の選手を指名するのが球団の方針で、創価大の監督の息子が球団のマネジャーをやっていますし、創価高出身の栗山監督もつながりが深く、田中の情報には一番詳しい球団です。その日本ハムが『田中1位』を公言しない…。もっとも日本ハムと創価大の間には、公言せずとも指名できる信頼関係があるとは思いますが、何か裏があるような気がします」

 どういうことか。

「故障した田中の右肩の状態がおもわしくないのでは。もちろんそれを知っている球団は、田中を指名しませんが、知らない球団は…。創価大サイドが、田中を指名する球団は事前に公言するよう要望した可能性もあります。ここへきてバタバタと『田中1位』を公言する球団が出てきたのは、そんな事情からかもしれません」(得津氏)

 当然、田中を指名する予定のない球団としては、事前にどこが田中を指名するか分かったほうが戦略が立てやすい。また、故障のリスク覚悟で指名しようか迷っていたとしても、競合する球団数によっては見送る決断もできる。逆に日本ハムが「田中1位」を公言すれば田中の無事を周囲に知らせることになり、結果的に競合球団数が増えることになりかねない。

 つまり「田中1位」を公言した球団は“踊らされた”可能性があるというわけだ。

 もっとも故障が癒えて大活躍する選手もいるだけに、指名が失敗になるとは一概には言い切れない。初出席となるドラフト会議を前に、由伸監督は「初めてだし、楽しみ。限られた人しか入れない場所だからね」と明るい表情で期待を膨らませていたが…。指揮官として臨む初のドラフトは、果たしてどんな結果が待っているか。

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