【カリフォルニア州ロサンゼルス10日(日本時間11日)発】ドジャースの前田健太投手(28)はナショナルズとのナ・リーグ地区シリーズ第3戦に先発し、3回を5安打4失点で降板した。チームは3ー8で敗れ、前田は1敗を喫した。

 大歓声の中、前田は少し緊張した表情でメジャー初のポストシーズンのマウンドに上がった。初回、幸先よく先頭ターナーを全てフォーシームで3球三振。しかし、この日は右打者の外角低めのスライダーが決まらない。球審の判定が厳しく、手を上げてくれないのだ。安打と2四球で二死満塁のピンチを迎えたものの、6番ジマーマンを3球三振に仕留めて切り抜けた。1点のリードをもらった2回は2三振を奪うなど三者凡退。

 順調に思えたが、3回につかまった。先頭ターナーにライナーで中前にはじき返されると、2番ワースを2球で追い込みながら中途半端な高さのフォーシームを右翼線に運ばれて二塁打とされる。一塁から俊足のターナーが生還。同点に追いつかれ、送球間にワースに三塁へ進まれた。3番マーフィーは浅い右飛に仕留めたが、4番ハーパーに初球のチェンジアップを右前に落とされて勝ち越しを許した。

 続くレンドンにカウント2―2からの7球目、真ん中高めのフォーシームを左中間席に運ばれた。この回を投げ終えたところで首脳陣は降板を決断。前田はベンチでうつむいたままでしばらく動くことができなかった。

 予想外の早期KO。1勝1敗で迎えた大事な一戦、負ければ王手をかけられる。そのプレッシャーは強く感じていただろう。球審の判定が厳しかったことでスライダーが使えず、投球の幅が狭まったことも響いた。

 しかし、致命傷になったのはフォーシームの高さだ。ロバーツ監督が「ストレートが高めに入ったのがいけなかった」と話したようにワースの同点打、レンドンの一発はともに追い込んでから、中途半端な高さのフォーシームを捉えられた。捕手グランダルの頭に、初回にターナーから外角高めのフォーシームで空振り三振を奪ったイメージが残っていたのだろう。

 前田が地区シリーズに登板することはないだろう。連敗で王手をかけられたが、この借りは必ずリーグ優勝決定シリーズで返す。