CS進出を逃し4位に終わった阪神だが、その一方で営業部は金本監督の起用法を見越した「超変革マーケティング」で大幅業績アップを果たし、来季に向けても腕をぶしている。ある営業担当者は「今年からグッズのマーケティング戦略を見直し、多品種少量販売にしたのですが、この戦略が金本監督の選手起用と非常によくマッチしたことで収益アップにつながりました」と明かす。

 今季の金本監督は横田、原口、北條、青柳ら若手を積極起用するなど、一、二軍のメンバーを目まぐるしく入れ替えた。“旬の選手”が日替わりで登場する中、グッズ戦略も1アイテムの生産量を減らしてその分種類を増やすなど、話題の選手を臨機応変に商品化。少量生産・多品種投入がハマった。

 商品数は昨年比10%増の1300アイテムを販売、売り上げの最大ウエートを占めるレプリカユニホームは例年の倍の30選手に増やした。選手起用と連動した戦略が奏功し、今年度の売上高は前年比20%増が見込まれている。「チームがBクラスに低迷した中で、今年は健闘しました。過去10年の売上額では、チームが2位だった2008年に次ぐ好成績。Bクラスの年に限れば最高成績です」(前出の担当者)とチーム成績とは対照的にホクホク顔だ。

 すでに9人が戦力外通告を受け、福原と鶴岡が引退。今後さらなる戦力外選手の発表、助っ人陣の退団の可能性もある。球団は本社の全面バックアップのもと新外国人、FA、さらにドラフトの大量指名など積極補強の方針。メンバーが一新される気配だが、営業担当者は「来季も多品種少量販売を継続していく」とさらなる超変革との“連動作戦”に腕をぶしている。