阪神・金本知憲監督(48)が5日、大阪市内の阪神電鉄本社を訪れ、坂井信也オーナー(68)にシーズン終了を報告。勝負の来季は昨年になかった大型補強を加えながら「育てながら勝っていく」と『超変革』の継続を宣言した。鉄人のブレない姿勢に球団内は拍手喝采だが、その一方でささやかれる“不安”がある。それは電鉄本社の…。

 就任1年目シーズンを4位で終えた金本監督は「率直に言うと苦しい、つらい、我慢…。難しさはいろんな場面であった。投手交代にしろ、野手のスタメン、とにかく1年終わってみて反省の方が多かった」と振り返りながら「若手が育ってきたので楽しい1年でもあった。高山、岩貞、北條とかまだ花は咲いてないが、芽は出てきたと思う」などと手応えも口にした。

 席上、坂井オーナーから「この戦力状況の中、苦労をかけた」などねぎらいの言葉を掛けられた指揮官は、25年ぶりの優勝を決めた広島の話題になったことも明かし「目指すのはそこ(カープ式のチーム強化)。いい素材を獲って、生え抜きを鍛える。(オーナーからも)方針を変えたりブレたりせずにやってくれと言われている」と「超変革」路線の継続を宣言。その一方で戦力補強についても「去年は若手に機会を与えるため『補強はいりません』だったが、今年で若い選手がどのくらいやれるか、時間がかかるかが分かった。(補強策の)一番は攻撃力や後ろの投手とか補ってもらうようお願いしている」。今オフのFAの目玉、オリックスの糸井獲りなど補強作戦にも着手することを明言した。

 この来季に向けた「所信表明」に球団内部からは「しっかりと地に足がついた発言。時間をかけてチーム再生を目指してもらえればいい」と絶賛の声が上がったが、そんな中、懸念されていることが…。「チーム内は来年、仮に負けても(翌年が)勝負の3年目という判断をするが、問題は本社の方がどれだけ我慢できるか。監督、球団と本社のその辺の温度差は感じる。来年も若手が今年のような程度で似たような成績なら慌てて方針に口を挟んでくる可能性はある。監督にブレるな、と言いながら本社がブレてしまうとか。期待が大きい分、その辺の体質が出ないか心配だ」(ある球団幹部)と危惧しているのだ。

 事実、四藤球団社長は坂井オーナーから「ブレずに育てながら勝つという、二兎を追うことをとにかくハイスピードでやってくれ」と猛ハッパをかけられたというから、すでにその“前兆”は起きている? 金本監督には負けじと頑張ってもらいたいものだ。