【赤坂英一「赤ペン!!」】巨人に将来を担う素材はいないのか。広島では鈴木、DeNAでも筒香と、成長著しい生え抜きの若手が台頭しているのに引き換え、巨人は今季も結局ベテランと外国人頼みだった。歯がゆい思いをしているファンも多い中、「いや、ファームには確実に育っている選手もいるんですよ」と言う指導者もいる。今月末、1年目の全日程を終えた三軍の川相監督である。

「この1年間で、三軍の育成選手たちも成長しました。個人差はありますが、確実にレベルアップしている。いますぐ一軍に交じっても、それなりについていけるぐらいの若手も出てきた。今年で土台作りはできたから、来年以降ある程度の成果を見せられると思う」

 その川相監督が成長株として挙げたのは、育成ドラフト1位内野手の増田大輝(四国ILplus徳島)である。昨年9月に生まれたばかりの長男と妻を故郷の徳島に残し、単身で入寮。主に1番・二塁や遊撃で起用され、巨人の正遊撃手だった監督の目に留まるだけのプレーを見せるようになった。

 2番・遊撃や三塁などで使われていた高橋洸も面白い。もともとは支配下選手として2011年のドラフト5位で日本文理から入団したが、4年間一軍に昇格できず、これで危機感が芽生えたのか、昨オフには一軍の足のスペシャリスト・鈴木尚の自主トレに参加。三軍戦とはいえ40個以上の盗塁をマークするほどに成長した。

「遠くへ飛ばせるパワーはなくても、足や守備でなら一軍の試合にも貢献できるでしょう。一軍の選手に交じっても、遜色のないプレーができる。そういうところから上を目指していってほしい」

 今季の一軍チーム盗塁数は26日現在で60個と、優勝した広島の半分しかない。「来季はもっと足で相手バッテリーにプレッシャーをかける必要がある。そういう攻撃に役立つ選手を上に送り込みたい。いい素材ならいるんですから」と川相監督は言葉に力を込める。

「広島は自前の若手たちを育てて25年ぶりの優勝を果たした。阪神も思い切って鳥谷を下げ、北條や原口を使って世代交代を進めている。この抜てきが実を結べば、近い将来また優勝争いをするようになるでしょう。巨人もそういうチームの未来を担うような選手を育てていかないといけません」

 巨人が「一新」されるのはこれからのようだ。