【広島カープLOVE著名人「旨酒をくみかわそう」:杉作J太郎】優勝当日はめちゃめちゃ熱く、そして暑くなり過ぎました。きっと何のこっちゃとツッコミを受けるんじゃないかなと思いますが、実を言うと優勝の瞬間は京都市内のサウナにいたんです。

 サウナの中に設置されているテレビで胴上げのシーンを見たんですが、のぼせることも忘れてずっと目に焼き付けていました。人生で一番長くサウナに入っていましたけど、大量の汗と一緒に大粒の涙も頬を伝って流れ出てきましたね。

 ボクは地元が愛媛・松山ですけど16歳のころから、ずっとカープファン。だからファン歴は40年ぐらいになります。その昔、山本浩二さんや衣笠祥雄さん、木下富雄さんといった“モミアゲ”が似合う主力選手が多くて「男のダンディズム」を感じたことが熱烈な鯉党になったきっかけ。いまカープ女子が増えてブームになっているのも、草食系男子の多い世の中で泥くさく破天荒な男らしさを赤ヘルの面々に感じているからじゃないでしょうか。

 今年一気に大ブレークした鈴木誠也なんて、まさにその典型。打ったら「どうだ!」の表情を見せ、打てなかったらグッと鬼気迫る顔に変貌する。彼は久々に出てきたワイルドな雰囲気を持つ選手ですよ。

 何はともあれ、25年は長かった。でも今年のカープは逆転勝ちが40試合以上もあったように「諦めない」という姿勢が、どのゲームにも色濃く出ていましたよね。それがこの悲願に結びついたと思うし、ボクもすごく教えられた。8年前に製作していた映画が諸般の事情でお蔵入りになりそうだったけど、今年のカープの頑張りを見て再び「やろう」という気持ちになったんです。

 CSも突破して、次は32年ぶりの日本一! 今度はサウナじゃなく球場で今年2度目の胴上げを見たいと思っています。

 ☆すぎさく・じぇいたろう 1961年9月26日生まれ。愛媛県松山市出身。漫画家、映画監督、俳優、タレント、ミュージシャン、ライターなど各方面でマルチな才能を発揮する鬼才。「男の墓場プロダクション」代表。本紙「昭和名優のダンディズム」も好評連載中。広島カープの快進撃に触発され、製作を再開した映画「チョコレート・デリンジャー」が来年公開予定。