阪神が19日、本拠地・甲子園球場での巨人戦に4―1でようやく今季初勝利。ここまで0勝9敗1分けと球団ワースト記録だっただけに金本知憲監督(48)も「長かったですが(ファンは)スカッとしてくれたかな。明日もあるので、とにかく目先の試合を勝っていきたい」と安堵の表情を浮かべた。

 立役者はプロ3年目の左腕・岩貞祐太(25)。「甲子園で巨人に勝っていなかったので『絶対勝つ!』という思いで投げた」と8回5安打1失点で8勝目をマーク。これで4日のDeNA戦から自身3連勝でチームが9月に挙げた4勝のうち3勝を稼ぐ活躍だ。

 そんな岩貞に、プロ入り当時の担当だった北村スカウトが「久保田のようになっていけ!」とゲキを飛ばした。かつての虎の救援最強トリオ「JFK」の一人で2005年のリーグ制覇に貢献した右腕、シーズン90試合登板のプロ野球記録を持つなど鉄腕ぶりでも知られ、現在は阪神の打撃投手を務める久保田に続いてほしいという。

 久保田は、どんなに活躍しても周囲への気遣いや感謝を忘れない性格の持ち主。「久保田は人間味のあるやつ。あれだけの結果を出しても今も偉ぶることが一切ない。そういう人がやっぱりこの世界で成功している。少し勝ったくらいで勘違いしてしまう選手もいるが、謙虚さを忘れては大成できない。(岩貞)祐太も『俺が俺が!』という人間が多いなかで謙虚な気持ちを持っているからこそ、その久保田みたいになってほしいんだ」(北村スカウト)

 今季初めて先発ローテの一角を務め上げ、この日は初の規定投球回に到達した岩貞だが「自力というより良くないときもチャンスをいただいたから達成できた」とコメント。その殊勝な態度を続ければ、誰からも愛される“久保田2世”になれるはずだ。