巨人・片岡治大内野手(33)が、かつてなく厳しい立場に追い込まれている。7日の阪神戦(甲子園)は3―2で勝利。巨人は、甲子園では今季負けなしの8勝1分けとした。

 しかし、「2番・二塁」で先発出場した片岡には、屈辱的な日となった。球場がざわついたのは、9回の交代劇だ。一死走者なしの場面で右前打を放って出塁した片岡に、由伸監督は寺内を代走に送った。

 寺内も俊足ではあるが、片岡といえば、かつて西武時代に4年連続で盗塁王に輝いたスピードスター。巨人がFA獲得に動いたのも、堅実な打撃と足が魅力だったからこそ。ところが、近年は度重なる故障に悩まされ、盗塁数は激減。今季は打撃不振もあり30試合の出場で、わずか4盗塁にとどまっている。

 由伸監督の試合後のコメントが、現在の片岡の立ち位置を明確に表していた。交代はコンディションに不安を抱えていたからか、との問いに「いや、特に。こっちの方がいいかなと思って代えました」と、あっさりだった。

 正二塁手のクルーズは、来季も契約が残っている。球団サイドがその後釜にと期待しているのは、ルーキーの山本だ。「足が魅力の選手が走れなくなると厳しい」(フロント)と、片岡の立場は宙に浮いている。

 左足の不安でスタメンを外れている坂本の状態が上がれば、背番号8の出場機会は再び限られる。過去に巨人の門を叩いた多くのFA選手と同様、片岡もまた、いばらの道を歩こうとしている。