巨人が21日の阪神戦(東京ドーム)に延長戦の末、1―4で敗れた。まさかの3失点で6敗目(1勝)を喫したセットアッパー・山口の不安もある一方で、唯一の収穫は先発の高木勇人(27)だった。7月7日の阪神戦(東京ドーム)以来の先発登板ながら8回1失点と好投。それでも本紙評論家・前田幸長氏は「持ち球を駆使しながら、なんとか『しのいだ』という感じ。今の高木の投球では、若手中心の今の阪神打線は抑えられても、広島打線が相手となったら厳しい」と断じた。

 一体どこに問題があるのか。昨年はルーキーながら開幕から5連勝を飾るなど9勝(10敗)。しかし、今季は二軍落ちも経験するなど4勝8敗、防御率も4・55と数字を落としている。前田氏は「昨年との決定的な違いが2つある」と指摘した。

「一つは『ストライクを投げたがること』。基本的にせっかちなタイプであるうえに、なまじ結果を出した自信もあって、ストライクゾーンだけでどんどん勝負しようとする傾向がある。ゾーンを広く使わず簡単にストライクを投げてしまっては打たれるのも無理はない」

 そしてもう一つは「シュートに対する意識の低さ」だという。「高木=カットボールといわれているが、実は他球団が嫌がっていたのは右打者へのシュートだった。去年はある程度投げていたが、今季はその割合が目に見えて少ない。彼はいわゆる“スライダーピッチャー”に見えるが、実は“シュートピッチャー”。ウイニングショットなり、見せ球なりでシュートを効果的に使うことで、カットボールが威力を発揮するという意識がおそらく低いのではないか」。投球スタイルの見直しなしに、昨年以上の活躍はないとした。

 CSを含めたポストシーズンでは中継ぎでの起用が濃厚な高木。前田氏のアドバイスをどう聞くか。