<ズームアップ甲子園>第98回全国高校野球選手権大会第6日(12日)第3試合に登場した作新学院(栃木)は尽誠学園(香川)に3―0で勝利し、ベスト16に進出した。作新の先発・今井(3年)は尽誠打線を5安打、13奪三振で完封。直球は自己新となる151キロを計測した。今大会の完封一番乗りとなった右腕は「自分の実力以上のものが出た」と話した。

 快勝した作新ナインには“長渕魂”が宿っている。小針監督が歌手・長渕剛を敬愛し、移動中のバスでは鹿児島県・桜島オールナイトライブの映像が流される。メンバーは常に長渕の歌に鼓舞されながら試合に臨み、今ではすっかり“長渕信者”になった。「最初は興味なかったんですけど(ライブの映像で)話しているのを聞くと“いい男”だなと思った。今では宿舎の部屋でも聞いています」(ある選手)

 小針監督は「長渕さんはお客さん全員に『盛り上がれ』と言う。同じようにグラウンドでは見てるだけじゃなくて、盛り上げて声を出せ」とライブからヒントを得て訓示。昨秋、負けが込んだ際には全員で宇都宮市を一望できる「多気山不動尊」に立ち、学校のある方角を見ながら長渕の「逆流」を熱唱した。すると勝利を呼び込むようになり「負けていたときに流れを変えて一丸になれました」(ある選手)。

 そんなナインが目標としているのが小針監督の“生リサイタル”だ。指揮官は2年前の秋の遠征中にギター一本でライブを開いている。現在のメンバーは誰も見ていないが、伝説として語り継がれ、ナインは「優勝したらライブを記念にやってほしいですね」。長渕魂を胸に頂点を目指す。