巨人の“恋人”は、夏の甲子園にいる!? 球団は1日、夏の甲子園を前に、都内の球団事務所でスカウト会議を開催。3季連続の甲子園出場を決めた花咲徳栄(埼玉)の152キロ左腕・高橋昂也(3年)が新たに“Aランク”に昇格した。今年は大学・社会人を含め有力投手が“豊作”とされるなか、球団内では高校生投手の評価が急上昇。当初の路線から微妙な変化が見え始めている。

 この日の会議は地方大会を終えた時点での高校生候補の現状報告と、評価の見直し作業が目的だったという。その中で注目は、埼玉大会6試合で37回無失点52奪三振の快投を演じ、チームを3季連続の甲子園出場に導いた高橋昂の“Aランク昇格”だ。

 山下哲治スカウト部長は「春とは別人の投手になった。球の速さに加えて、角度がある。先発完投型の投手。春から夏にかけての進歩はすごい」と絶賛。前回6月の会議で同じく“Aランク”に位置付けた寺島成輝投手(履正社=3年)、藤平尚真投手(横浜=3年)に、高橋昂を加えた注目の高校生3投手を“三羽ガラス”と表現した。

 その上で、同部長は「甲子園組ではこの3人以外にもいい投手は出てくると思う。今年の甲子園大会は我々にとって最終チェックの場として、かなり重要。ああいうところでいい投球をするとすごく目立つ。どういう投球をするか、ものすごく興味がある」と、今年は大舞台での結果も重視する考えを示した。

 巨人が現時点でドラ1候補にリストアップしているのは“高校生三羽ガラス”に加え、前回の会議で別格の“特A”とした創価大・田中正義投手(4年)、東京ガス・山岡泰輔投手(20)ら計9人。ただ、ここにきて球団内では高校生投手1位指名の機運が高まっている。

 実は先月31日の補強期限ギリギリまで、球団は育成から1投手の支配下昇格を検討していたが結局、見送られた。「育成から1人引き上げる手もありましたが、今年は近年まれに見る“豊作ドラフト”。チーム編成を考えれば、そろそろ有力な高卒投手を指名したい。即戦力を含めて全体の指名数増加も検討していることから、枠を確保する意味でも我慢して今回は見送ったということのようです」(球団関係者)

 昨年まで巨人のドラフトを主導してきたのはベテランの山下スカウト部長だったが、今年は編成部門トップの堤GMも、地方大会から積極的に有力候補の視察を重ねていることから「今年のドラフトにかけるGMの意気込みはすごい。指名に関しては、昨年以上にその意向が強く反映されるはずだ」と見られている。

 さらに昨年のドラフト会議には出席できなかった由伸監督にも、自分なりの考えがあるだろう。

 最終的な指名候補の絞り込みは、秋の大学リーグ戦終了後に行われる見込み。その前に、G党にとっては久々に熱い甲子園が幕を開ける。