6年目右腕が鯉投手陣のピンチを救った。28日の巨人戦(京セラドーム)は広島が4―0で勝利。福井優也(28)は約2か月半ぶりの先発で7回無失点の好投。自身にとってもチームにとっても大きい2勝目だ。不振のため二軍再調整を強いられていた福井は7回無失点投球に「点を取られても最少失点でと思った。リズム良く腕を振ろうと思った」と満足げに振り返った。

 広島は10日の阪神戦(甲子園)でプロ初完封を果たした戸田が、寮で転倒した際に左手首を痛め登録抹消。中継ぎの一岡も右前腕部の違和感を訴え降格した。さらには27日に先発予定だったドラ1ルーキー・岡田も発熱で登板を回避。26日が雨天中止となったためジョンソンがスライド登板し事なきを得たが、ここにきて投手陣にほころびが見えてきている。そこでミーティングを開き、体調管理の徹底を促した。

 今季、緒方監督は投手陣については“褒めて伸ばす”方針をとってきた。打撃戦で勝利しても「先発が試合を作ってくれた」「中継ぎ陣の頑張りがあってこそ」と必ず賛辞を贈り、敗戦しても「投手陣を責めることはしない」「(継投ミスした)自分の責任」とかばってきた。

 ある首脳陣は「一岡は古傷でもあり仕方ない。岡田も新人だからしょうがない部分もあるが…。戸田は自分でチャンスを逃したようなもの。もったいないし、かばいようがない。こういう事態が連続したこともありさすがに“喝”を入れざるを得なかった」とミーティングで指揮官が初めて投手陣の尻を叩いたことを明かした。これに奮起したのが「二軍で一番鍛えてきたのは気持ちの面。自分で自分を弱くしてしまうところがあるので、気持ちを強くしてマウンドに上がりたい」と覚悟を口にしていた福井だ。

 2位・巨人とのゲーム差を再び10に戻した広島は最短で30日にもマジック「36」が点灯する。