阪神は8日の首位・広島戦(甲子園)に2―8で完敗し、再び最下位に転落した。広島とのゲーム差は最大13.5と広がり、自力優勝の可能性も消滅だ。“大戦犯”は8回8失点で今季5敗目を喫した藤浪晋太郎投手(22)。3回までに5点を失う内容に怒り心頭の金本知憲監督(48)から続投を命じられ、自身最多の161球を投げ込むハメになったが、この“鬼采配”を球団内は大歓迎した。

 「いきなり四球を出して一番やってはいけない形になった。悔しいし、自分に腹が立つ。情けない気持ち」と試合後の藤浪はうなだれた。初回から制球難でピンチを招き、鈴木に先制打を許すなど3回までに5点を献上。その後、打線が3点差に追い上げたが、8回に3失点し、再び試合をぶち壊した。

 藤浪は6月2日の楽天戦で4勝目を挙げてから5戦勝ちなしの3連敗。金本監督は「今日は何点取られても最後まで投げさせる気だった。ストライクが入らず、取りにいって打たれて…。いったい何度目なのか。何も変わってない。昨日、青柳で勝ってチームは(前回3連敗した)広島にリベンジでやっているのに…。(昨年)14勝を挙げた藤浪がやることではない!」と意図的に8回、自己最多の161球を投げさせたことを明かし、激高。さらに「正直、予定では10勝しててもおかしくはない投手。それがチームの借金につながっているといえば、背負わせ過ぎかもしれないが、それくらい感じてほしいし、感じないといけない」と声を荒らげた。

 指揮官が藤浪を公然と非難するのは初めてのこと。他球団スコアラーは今回の“懲罰続投指令”について「普通はありえない。監督が試合を投げ出した感じがした。いくら怒ったとしてもあれだけ投げさせては本人がどう思うか」と話したが、チーム内では金本監督の鬼采配を歓迎する声がほとんど。あるフロント幹部は「もっと厳しくやってもいいかもしれない。藤浪は過去3年、怒られもせず、コーチも含めて周囲が甘やかしてきた部分がある。早くから個人調整を認められたり、特別扱いされてきた。それは他の投手も感じていること。それで結果が出ないなら厳しい見方をされるのは当然。金本監督は大事なことを教えていると思う」と絶賛した。

 もちろん、期待するがゆえの金本監督の愛のムチ。あとは藤浪がこれにどう応えるか、だ。