巨人が29日の中日戦(東京ドーム)に3―2で競り勝ち、2位を守った。首位・広島とのゲーム差も「9」をキープしたものの、先発の高木が序盤からモタつき、相手の押し出し四球が決勝点という冴えない展開。高橋由伸監督(41)の心労も募るばかりだ。

 それでも試合後は「何とか全員で1点ずつ取れたと思う。同点からその後を抑えてくれて、何とか少ないチャンスで勝つことができた」と冷静に振り返った。

 由伸監督は試合中もほとんど表情を変えず、ベンチに腰を下ろすことなく腕を組みながらジッと戦況を見守るのが基本的なスタイルだ。ナインの間でも「感情が出る印象はないです」ともっぱらで“例外”は「うっかりだったのかは分かりませんが、思いっきり笑ってしまったのは1回だけじゃないですか。平良が初登板した試合(4月7日、東京ドーム)の初打席でライトゴロを打っちゃった時。監督だけじゃなく、ベンチも大爆笑でしたけどね」という。

 ただ、シーズンも半分を折り返し、由伸監督が貫く無表情の中にもナインはわずかな“変化”に気づいていた。「監督が一番嫌うのは、ボーンヘッドと同じ失敗やミスを繰り返すこと」と“分析”するナインの一人は「怒って何かを蹴飛ばしたりというようなことはないはずですけど、実は本当に頭にきた選手には静かに“二度見”するんですよ」と声を潜めながら打ち明けた。

 直接的に叱りつけることはなくても、怒りの原因となった選手には鋭い視線を送り、一度は心を落ち着けるかのように目線を落とす。だが、それでも収まらなければ、直後に「もう一べつ」を食らわせる傾向があるという。ちょっとした動きにもナインは敏感で「無言なだけにいっそう怖いです」とビクビクなのだ。

 この日の切迫した試合で「恐怖の二度見」はなかったようだが…。ベンチを明るくする何よりの近道はナインの奮起だ。