阪神は28日のDeNA戦(甲子園)を5―3で快勝し、連敗を3で止めた。先発のメッセンジャーが7回3失点と粘り、打線も11安打を放つなど、久しぶりに投打がかみ合った。しかし、本紙評論家の伊勢孝夫氏は今後を見据えて辛口提言。「超変革」の主役であるはずの若手の起用法に疑問を投げかけた。

【伊勢孝夫・新IDアナライザー】この日は高山がスタメンに復帰して1番。鳥谷が2番に座った。私はずっと「2番・鳥谷」と言い続けてきたが、バントをあまりしないチームの2番は左打者がベストと思う。彼は選球眼もいいし、野球をよくわかっている打者。金本監督は「気分転換の意味もある」と言っていたようだが、もう動かさない方がいいだろう。

 しかし、気になったのはマスクをかぶったのが原口ではなく岡崎だったことだ。金本監督はここまで「超変革」を掲げて若手を積極起用してきた。北條、原口、陽川、江越、横田ら7人くらいの若手をとっかえひっかえでやってきている。そんな中で「将来、レギュラーを取れるだろう」と思わせる選手が原口と高山。金本監督もそう思っているはずだ。だからこそ、なんで原口をメッセンジャーと組ませないのか、と思った。

 今の先発陣なら球威、コントロールともにメッセンジャーが一番。そんな投手のボールを受けさせながら一人前のキャッチャーに育てていかないといけない。藤浪はボールがあっちこっちにいくし、能見はフォークがワンバウンドになったりするが、メッセンジャーはだいたい構えた近辺に来る。原口は打者としていいものを持っているんだから、働ける場所を見つけていかないといけない。確かにスローイングに難点があるが、そこは目をつぶって投手がクイックをうまくやってカバーしていけばいい。絶好の勉強の機会だったと思う。

 高山も一時、外していた。将来的に希望のある選手は、少し我慢してでも使っていかないといけない。外すのは簡単なこと。育てながら勝つことは難しいし、目先の1勝も大事かもしれない。でも、どちらかを選ばないといけなくなる。状態が少々悪くなるとベンチ、良くなったら出る、ではレギュラーにはなれない。希望ある選手には、苦しい部分を乗り越えさせないといけない。

 原口と高山の2人は、とっかえひっかえをしてはいけない。「超変革」のアドバルーンを揚げているんだから、最後まで我慢して使い切る覚悟が金本監督にも必要だろう。(本紙評論家)