巨人のエースがまさかの大炎上だ。24日のDeNA戦(横浜)に先発した菅野智之(26)が2回1/3で11安打を許し、自己ワーストの9失点KOされた。右腕の乱調が響き、チームは6―12で完敗。首位広島とは7差となった。これまで防御率0点台を守ってきた絶対的エースに、何が起きたのか――。

 目を疑いたくなる光景だった。3回一死満塁、菅野が「ムキになってしまった」と悔いた初球は、ド真ん中への直球だった。桑原に3打席連続安打となるグランドスラムを左翼スタンドへぶち込まれ、屈辱の途中降板を告げられた。

 初回から先頭の桑原に初球を叩かれ、中前打。二進後、梶谷にはファーストストライクの2球目の直球を打たれ、右翼フェンス直撃のタイムリー。瞬く間に先制を許した。

 ベイ打線が早いカウントから積極的に振ってきていることは明らかだったが、この日の菅野は立て直せない。続く2回も4安打でさらに3失点。3回も4連打で5点目を献上し、トドメは桑原の満塁弾。11安打9失点のメッタ打ちを食らった。

 菅野自身、状態が良くないことは自覚していた。試合前の時点でリーグ最多の102イニングを投げ、疲労もたまっている。試合後は「疲れている中でも、結果を出さなければ。今年は“悪いなりに”というのができていない」と振り返った。

 由伸監督は「これまでの投げている内容からすれば、1回や2回、こういうことだってある」とかばいつつ「普段と違うからこうなったのでしょう。何かいつもと違うところがあったんじゃないか」とエースに起きた“異変”を心配した。

 考えられる炎上の原因は、蓄積疲労以外にもある。開幕から女房役だった小林誠が肩甲骨の骨折で離脱し、この日は相川と今季初バッテリーだった。ベテラン捕手は「智之が投げて9失点は捕手の責任。あれでは話にならないし、それ以上、言葉がない。智之に対しても」と頭を下げたが、チーム内では実際に相性の問題も指摘されている。

 スタッフの一人は「智之は若いけどいわゆるエース気質で、親分肌。同世代の小林や若い捕手相手だと『俺に任せろ』という気持ちで投げられるけど、ベテラン相手だとそうはいかない。いつものリズムがつかめない部分はあったと思う。捕手は思い切って鬼屋敷や河野にしたら、良い結果が出るかも」と提案した。

 また“ソフトバンク後遺症”を指摘する声もある。交流戦で苦杯をなめさせられたソフトバンク、ロッテは、両軍とも序盤は球数を費やさせる作戦できた。菅野もそこは十分理解して、球数を減らすよう、この日の試合に臨んだはずだが、DeNAの積極的な打撃を見る限り、その対策を逆手に取られた可能性もある。

 0点台だった防御率は一夜で1・64まで下がった。それでもエースにうなだれている暇はない。「反省するところは反省して、現状を受け止めて。長い野球人生こういうこともあると思うので、しっかり糧にしたい」。次回は再び相手を“圧倒”する投球を見せられるか。