“放任野球”一転!「動く由伸」に他球団衝撃

2016年06月08日 16時00分

実に4年ぶりとなる阿部の犠打に球場はどよめいた

 巨人・高橋由伸監督(41)が“原野球”を解禁だ。2―6で敗れた7日の西武戦(西武プリンス)の4回無死一、二塁で、ベンチが犠打を命じたのは、なんと主軸の阿部慎之助捕手(37)だった。「個」に委ねてきたこれまでの放任イメージから一転、青年指揮官の突然の積極采配には、ライバル球団からも驚きの声が上がった。

 

 西武プリンスドームがどよめいた。まさかのプレーは巨人が1点を追う4回無死一、二塁の場面で起こった。相手の左腕エース・菊池が初球の投球動作に入った瞬間、阿部はバントの構えに変化すると、捕前に緩いゴロを転がした。

 

 阿部が犠打を決めたのは、2012年のソフトバンク戦以来4年ぶり。西武サイドの意表を突いたバントは成功したが、球場はざわめいたまま。異様な雰囲気のなかで続くクルーズが左越え2点適時二塁打を放ち、巨人は一時逆転に成功した。

 

 ただし、その後は先発の田口が崩れ、再逆転を許すと、打線も立ち直った菊池に力でねじ伏せられて完敗。それでも阿部の犠打の余韻は、試合後も巨人ベンチに漂った。

 

 由伸監督は「なかなかチャンスがなさそうだったし、何とかモノにしようというところで、そういう選択をした」。一方、阿部は「三塁前に転がそうと思った。これからそういう(走者を進める)場面が増えるだろうから、きっちりできればいいと思う」と振り返った。

 

 就任以来、由伸監督の口癖は「個の力」。原前監督のベンチ主導采配とは対照的な“放任野球”で、ここまでチームを率いてきた。それでも57試合を経過して、チーム打率2割3分9厘は12球団最低。特に相手が好投手となると、貧打線は手も足も出ない。5日の日本ハム戦(東京ドーム)も、大谷に9回6安打で完投を許した。チームスタッフは「あの試合で、監督も『任せているだけでは点は入らない』と感じたのでは」と指摘する。

 

 ただ、コーチ陣は「選手に対しては『エース級との対戦では、今後はこういう作戦もあるぞ』というメッセージになったはず。監督としては覚悟がいる決断だったと思うけど、早い時期にベンチワークの幅が広がったことは良かった」と前向きに捉えている。

 

 セ球団のスコアラーも「主軸でも頻繁にバントを命じていた原さんとは違って“動かない監督”というイメージがあったので、正直驚きました。でも、決め付けられないとなると厄介ですね」と“動くヨシノブ”には衝撃を受けた様子。勝利には結びつかなかったが、執念のタクトは今後の戦いにつながるか。