藤浪 後藤次男さんに捧げる1安打完封勝利

2016年06月03日 16時00分

完封勝利をマークした藤浪

 阪神・藤浪晋太郎投手(22)が2日の楽天戦(コボスタ宮城)に先発し、今季初完封の快投で4勝目をつかんだ。安定感を欠き、自己ワーストタイの6試合連続勝ち星なしとどん底だった右腕の約2か月ぶりの白星。老衰のため5月30日に亡くなった偉大なOB・後藤次男氏(享年92)が残した猛ゲキに応えてみせる1勝にもなった。

 

 この日の藤浪は初回を三者凡退に打ち取り、好発進を切ると最速151キロの直球にカットボールを交えて楽天打線を封じた。「力を抜いて、無理に力で押さず、三振を狙わず投げたのがよかった」と言うように、奪三振は4にとどまったが、冷静にゴロアウトを積み重ねた。結局、許した安打は2回の枡田に浴びた中前打のみ。100球の省エネ投球で昨年9月28日の巨人戦以来の完封勝利だ。

 

 登板前日の1日には外野からの遠投を練習メニューに加えるなど、試行錯誤の末に約2か月ぶりの勝利をゲット。「本当にいろいろあった。(6試合勝ち星なしは)プロでワーストタイの記録で情けなかったし(チームに)申し訳なかった。やっと勝ったなという感じ」と藤浪は安堵の表情を浮かべ、金本監督も「ちょうど週の真ん中にブルペンを休ませられたのは大きい。これから挽回してくれるでしょう」と絶賛した。

 

 自身の連敗脱出とともに、藤浪にとって“負けられない戦い”だった。この日の試合前、球団は、前身の大阪タイガース時代に中心打者として活躍し、1969、78年に監督も務めた後藤次男氏が5月30日に老衰のため亡くなったことを発表した。その後藤氏が球団創設80周年の昨年、4月7日の甲子園開幕・DeNA戦で始球式を務めた際に、期待する選手として「メッセンジャーもいるけど、やっぱり日本人で藤浪がエースになるよう頑張ってほしい。柱は日本人がいい」と藤浪の名前を挙げていたからだ。後藤氏の期待に応えなければならない。そのためにも、もうふがいない投球はできない。そんな中での藤浪の“復活投”でもあったのだ。

 

「今日の藤浪の投球には後藤さんも喜んでいただけたかな、と思う。今後もエースらしい投球を続けていってほしいね」とは球団幹部。試合後の藤浪も、後藤氏がエースになることを願っていたことについて「そういうふうになれればいい」と言い切った。