巨人が2日のオリックス戦(京セラ)に4―2で競り勝ち、4連勝を飾った。先発の大竹寛(33)は6回途中3安打2失点の奮投で、前日の内海哲也(34)に続き、今季初白星を手にした。ベテラン投手コンビの復活は朗報だが、やはり今回の3連戦で別格だったのは、5月31日の初戦で復帰した阿部慎之助捕手(37)の存在感。背番号10は打線の主軸としてだけではなく、投手陣にも絶大な好影響を与えている。

 戦前の厳しい予想を覆すスイープに、巨人ベンチも笑いが止まらない。初戦は阿部の逆転弾で先勝。2戦目は、内海が6回無失点の好投で、8か月ぶりの勝利を手にした。難敵・金子との対戦となった3戦目は、打線が坂本の11号ソロなどで序盤に4点を奪うと、大竹寛の粘投とリリーフ陣の踏ん張りで逃げ切った。

 オリックス戦3連勝に貢献したのは、開幕に出遅れたベテラン陣。由伸監督は「結果として、そうだと思います」と3人をたたえると「彼らもこれだけじゃなく、もっと巻き返そうと思っているだろうし、巻き返してほしい」とエールを送った。

 7連敗中の暗黒ムードから一転、ベテランの活躍でベンチの雰囲気はずいぶん明るくなった。その中心に座っているのが阿部だ。右肩の状態が万全ではないことから、指名打者での起用となったが、ナインは「阿部さんが戻って空気が一変した」と口を揃える。

 貧打線を救う役割を背負う阿部だが、スタッフによれば、復帰の影響はすでに投手陣へも及んでいるという。「慎之助が一軍にいるだけで、ブルペンまでピリッとするんだよ。若い投手は緊張感を持って投げるし、小林(誠)も目の色が変わった。内海みたいなベテランへの助言も、長く受けているから的確だしね」。確かに炎上が続いていたリリーフ陣も、今回の3連戦では見違える働きだった。

 村田善バッテリーコーチは、阿部の捕手復帰への見通しについて「コンディションさえ万全なら、捕手は慎之助が一番。捕手で出てほしいという希望はあるけれど、再離脱されるのだけは困る。二軍でも1試合を通してマスクをかぶっていないし、そのあたりを監督がどう考えるか」としたが、前出のスタッフは「今はベンチにいてくれるだけで十分」と話す。

 この日は3打数無安打だったが、この3連戦を終えて「久々にいい疲れだね。肉体的にも、精神的にも」と充実した笑みを浮かべた阿部。マスクをかぶらずともチームを動かしてしまう存在感は、さすがというしかない。