31日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)にプロ初登板初先発した中日のドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介投手(18=東海大相模)が、驚異の離れ業を見せた。

 全ての高校球児が憧れる甲子園の優勝投手となった男。やはり持っているものが違うということか。1点リードの5回。ここさえ抑えれば勝ち投手の権利が得られるという場面で、自らの3四球で無死満塁と絶体絶命のピンチを招く。しかし、ここで今宮を三ゴロホームゲッツーに仕留めて得点を許さない。続く柳田にはこの回、4つ目の四球で二死満塁とするが、内川を中飛で打ち取り奇跡の無失点投球。勝ち投手の権利をしっかりその手につかみマウンドを下りた。

 物おじしない性格。しかし、登板後には珍しく「緊張しました」と汗をぬぐった。ただ言葉とは裏腹に投球は堂々としたもの。序盤から最強鷹打線に真っ向から立ち向かった。初回、先頭の牧原を追い込むとチェンジアップで空振り三振。続く今宮は内角に食い込む145キロの直球で三飛に打ち取る。さらに柳田もチェンジアップで三振。「最初、三振から始まったのでいい流れで投げられていた」と勢いに乗った。

 3回に四球をきっかけに1点を失うが、5回1安打1失点は合格点だろう。1点リードの8回に4番手・福谷が4点を奪われ、チームは逆転負け。小笠原もプロ初勝利はお預けとなったが、次回登板にますます期待がかかる初陣だった。