東浜を成長させた工藤監督の手腕

2016年06月01日 10時00分

工藤監督(右)に強さの秘密を聞く前田氏

【前田幸長 直球勝負】昨季の交流戦、最高勝率チームとなったのはソフトバンク。今季のペナントレースも圧倒的な強さで勝ちまくっており、セ・リーグの各球団にとっては脅威となることは間違いない。

 

 では、今季のソフトバンクの強さの秘密とは何なのか。工藤監督を直撃すると、すぐさまこう返してくれた。

 

「やっぱり、先発投手だな」

 

 確かに先発は揃っている。昨年10勝のエース摂津、9勝の中田が戦列を離れても、千賀、5年ぶりに古巣に帰ってきた和田が見事に補っている。武田、バンデンハーク、そして今季から先発ローテ入りを果たした、4年目右腕・東浜の5人で25勝3敗という数字は立派という以外ない。

 

 私が注目したのは、3勝無敗、防御率2・52の東浜だ。“最後の先発枠”に東浜を加えたのには、工藤監督なりの理由があったからに違いない。「もともと(フォームの)柔軟性はあった。ただ、体が弱かった。体の『幹』の強さがなかったから、そこから入った。下(二軍)に置いてもやらないから、上に呼んでやらせたんだ」。鍛え上げれば即、戦力になるという確信を持っていたようだ。

 

 一体何をさせたのか。工藤監督は登板間の3、4日を使い、上半身→下半身→上半身と1日おき交互にトレーニングすることを命じたという。「体が単純に強くなった。やっと結果が出てきたことで、本人もやる気になっている」。監督の期待に結果で応えている東浜の姿は、他の投手陣にも好影響を与えているに違いない。

 

 攻撃陣はどうか。昨季31本塁打、98打点のデホ(李大浩)が抜けた打線をどう作り変えようとしたのかが気になったが、工藤監督の答えは明確だった。「代わりはいろんな人間がいる。本塁打が出なくても点が入ることが重要だった」。今のところ長谷川が5番に落ち着いているが、一番のポイントは「ジグザグ打線」にあった。左、右、左と打者が並べば当然、相手ベンチの投手起用が難しくなる。もともと能力の高い打者が揃っているだけに、相手へのプレッシャーや、やりづらさという面からアプローチしていったのだろう。

 

 監督就任2年目、戦力を熟知した工藤監督の手腕が奏功している今季のソフトバンク。交流戦、2年連続最高勝率チームに向け、死角は見当たらない。(本紙評論家)