孤軍奮闘のエースに初めて土がついた。菅野が許した失点は、初回に坂本の失策絡みで与えた1点のみ。だが、今の打線には致命傷だった。

 チームは2007年以来9年ぶりの6連敗。ついに借金生活突入で順位は一気に5位まで転落。絶対エースの登板試合を落としたダメージは大きい。5月は7勝13敗の急失速。高橋由伸監督(41)は「毎日試合があるわけですから。続きをやるわけでもないですし、とにかくその日、目の前にあることに最善を尽くす、という以外にない」と必死に前を向いたが、首脳陣の表情は暗く、チーム全体が閉塞感に包まれている。

 そんなチームに前日、とんでもない知らせが飛び込んだ。二軍調整中で今季未登板のマイルズ・マイコラス投手(27)が、ローレン夫人(28)の芸能活動に付き添い、映画のPRイベントにまさかの“登場”。ご機嫌にコメントしている様子が報じられたのだ。

 球団が制限できないプライベートな活動とはいえ、この“KY行動”がナインの心情を逆なでしたのは当然だ。マイコラス不在の苦しい状況を支えている投手陣は、ニュースを目にしてみな絶句。最も強く復帰を待ち望んでいるはずの由伸監督でさえ苦笑いを浮かべ、「相変わらずだね」とあきれるしかなかった。

 そもそもキャンプ中に右肩不安を突然訴えた時点で、2年契約を結んだマイコラスのヤル気は疑われていた。最近も実戦復帰のメドを聞かれた右腕が「チーム状況もあるので」と語った際には、「チーム状況を考えれば、早く投げてほしいに決まっているだろ!」と一斉にツッコミが入っていた。

「今年のマイコラスの活躍といえば、成田空港へバラを持って夫人を迎えに行ったことと、アド街(テレビ東京の人気情報番組『出没! アド街ック天国 よみうりランド編』=5月7日放送=)の出演、それと今回の映画イベントでしょう?」と毒づいたある選手は「あんな生活で高い給料をもらっていることを考えるとね…。毎回必死に投げている智之が一番、バカらしく感じているんじゃないか」とエースの心情を思いやる。

 先発陣の苦しい台所事情からすれば、マイコラス復帰が一番の打開策。菅野が背負い込んでいる負担も減るに違いない。ただ戻ってきたところで、すでにナインの心はKYな助っ人から遠く離れている。