4年ぶりに阪神復帰の藤川球児投手(35)が、18日の中日戦(甲子園)で、日本では2012年9月以来1341日ぶりのセーブをマークした。下半身に違和感がある守護神のマテオと登板過多の中継ぎ・ドリスが休養となったため“代役守護神”を務め、気迫の全球直球勝負で勝利に貢献だ。帰ってきた火の玉ストッパー。チームは勝率を5割に戻し、活気づいたが、本紙評論家の遠山奨志氏は今後の藤川についてシビアに評した。

「ピッチャー・藤川」のコールが告げられると、甲子園球場のボルテージは最高潮。大歓声のなか1点リードの9回のマウンドに上がった火の玉右腕は中日・堂上を直球のみで三振。その後も全球ストレート勝負に徹し、復帰後、最速の148キロを計測するなど、力でねじ伏せる投球で三者凡退に仕留め、セーブを挙げた。

 慣れ親しんだストッパーを務めた藤川は「(久しぶりだと)感じないようにしていた。今日のゲームにしっかり集中しようと思っていた」とキッパリ。「シーズンは長いので誰かが疲れているところでカバーできるようにしたい。こういうときのために僕がいる。勝てれば、どこをやってもいい」と、チームの勝利のため“何でも屋”もいとわない姿勢を改めて示した。

「球児の経験にかけた。ストライクを取るのに苦労していたが、そこだけ。ストレートの球威は戻ってきている。あとは連投がきくかというところ」とは金本監督。

 このまま状態を上げていけば、本格的な“守護神・球児復活”への期待も高まりそうなムードだが、遠山氏は「球児は抑えが様になるな、という雰囲気があった。しっかりと起用に応えた」と、この日のセーブを褒めながらも「甲子園で9回の勝ち展開。そこで藤川が久しぶりに出てきたことで球場全体が球児を後押しするムードになった。今日はそれが大きかった。今日はよかったが、だからといって(今の力では)抑えで使っては長続きはしないだろう。それは首脳陣も分かっているはず」とピシャリ。

 藤川はあくまで緊急事態限定にするべきとの主張で、むしろ「(大事な局面で)若くて勢いのあるピッチャーを使う方がいい」と強調。「投手ならではの難しさはあるが、野手のように若い選手を試すことが必要。(6回一死一、二塁のピンチでリリーフし、ビシエド、ナニータを封じるなど、1回2/3、無失点と好投した)今日の石崎のように粗削りでも思い切って起用すれば力を発揮する。シーズン終盤の厳しいところで投げられるピッチャーをつくるためにもどんどん若手を投げさせるべき」とも訴えた。

 3―2で中日に勝利し、勝率を5割に戻した阪神は藤川の復帰後初セーブで大いに活気づいた。「(直球は)もうちょっと。鍛えている途中」と話した球児だが、果たして、今後はどうなるのか。