メジャー関係者が分析した「大谷迷走の原因」

2016年05月10日 06時00分

5回、吉井コーチ(左)と浮かない表情で話す大谷

 日本ハム・大谷翔平投手(21)が勝てない。今季7試合目の登板となった8日の西武戦(西武プリンス)でも6回10三振を奪いながら、2点リードを守れず自己ワーストに並ぶ10安打を浴び4失点でKO。チームの5割復帰がかかった一戦で背信の3敗目(1勝、防御率3・02)を喫した。大谷はなぜ急に勝てなくなったのか。メジャー関係者が迷走の原因を分析した。

 また勝てなかった。もはや「打線との絡み」という外的要因ではなく、大谷自身の問題。味方に2点の援護をもらった直後の失点から簡単に同点に追いつかれ8番、9番の下位打線に勝ち越し打を許す並の投手の失点パターンだった。

 大谷は「どの球種も甘いですし、6回の勝負球も甘かった。(勝負どころで)打者有利のカウントになってしまったので、窮屈なピッチングとなってしまった」と言葉少な。栗山監督は「単純に大事なところであんな打ちやすいボールを投げているのは技術不足。しっかりやる、以上! これからチームのエース級になっていく投手が大事なところで(制球を)間違えちゃいけない」と、ふがいない“エース候補”の現状に危機感を募らせた。

 昨季、最多勝・防御率・勝率のパ3冠を成し遂げた大谷はなぜ、勝てなくなったのか。この日もネット裏には多くのメジャースカウトが詰め掛けたが、あるナ・リーグ球団関係者は「今年は去年に比べてボールが見やすくなっている。ガムシャラさが少なくなって変化球の曲がりも安定してきている分、投球がまとまり、狙いが絞りやすくなってきている」と技術的な要因を語りながら、こう分析した。

「年々、体も変化して相手の対応も変わってくる。4年目となれば気持ちの新鮮さも薄れてくる。それにアジャストするためには例えばボールのキレや配球等、それまでと違うもので補っていかないといけない。そのプラスアルファがなくて苦しんでいるのでは」

 さらに、高校時代から大谷を継続調査している別のメジャー関係者は「大谷の勝負弱さの原因は松坂、ダルビッシュ、田中将らパ・リーグの歴代エースたちと比べ、圧倒的な経験値の少なさに尽きる」と語り、その見解をこう続けた。

「松坂が夏の甲子園で250球を投げたり、東北高で過保護に育てられたダルビッシュでさえ重要な局面では連投したり、後に球界のエースとなった投手たちは例外なく高校時代に米国ではタブーとされる過酷な登板を通り抜けてきた。ある意味でそれがチームの勝利にこだわる日本人投手のメンタルを形成している。大谷にはその経験が欠落している。いい悪いは別にして彼は高校時代にケガをしたことで過保護に育てられ、それは今も続いているのではないか」

 そのいい例がプレミア12の準決勝(昨年11月19日=東京ドーム)だ。韓国を7回無失点に抑えながら大谷はあっさりとマウンドを譲り、リリーフ陣が打たれて日本はまさかの逆転負けを喫した。

 前出のメジャー関係者は「もしダルビッシュだったら『最後まで投げさせてくれ』と突っぱねたんじゃないか。そのぐらい勝負に対するこだわりは強いと思う。ただ、しかるべき時期に体力の限界、気力の限界を超える経験をしてこなかった大谷にはそこの執着が欠落している。それは限界を超えたことがないゆえのもの。投手としての能力を上げる大事なステップを踏んでいないことに起因するのではないか」と指摘した。

 この日も逆転を許しながら、悔しさをあらわにすることなく119球で降板した大谷。ダルビッシュのレベルを求めるのは、やはり酷なことなのか。