首位浮上 中日の強さは本物か

2016年05月10日 10時00分

打撃好調のビシエド

 中日が8日の巨人戦(東京ドーム)に11―4で快勝して単独首位に浮上した。果たしてこの力は本物か。本紙評論家の宇野勝氏は主砲ビシエドのチームにおける影響力の大きさを評価し、一方で好調なチームの足かせとなりかねない“問題点”も鋭く指摘した。

【宇野勝・フルスイングの掟】中日が単独首位に立った。その力は本物なのか? 私は本物だろうと思う。今の中日は強い。4番・ビシエドがチームに与えている影響が大きい。

 8日現在、3割2分8厘、11本塁打、28打点の文句なしの成績。4番がきちっとしていると周りに伝わってしっかりしてくる。私が現役時代、ロッテで3度の3冠王になった落合博満氏(現中日GM)が中日にやってきてチームの雰囲気が変わった。

 一発バーンと打つとベンチの雰囲気を一変させる。そういうチームを引っ張る力がビシエドにはある。

 好調のナニータにもビシエドが好影響を与えている。19試合連続安打中で3割6分4厘と高打率のナニータは昨年と印象が大きく変わった。昨年はちょこんとレフト方向に流す打撃が目立ったが、今年は内角の球をしっかりと強いスイングでライト方向に引っ張ることができている。バットスイングが速いビシエドを見て「バットは振るんだ」という意識が出ているのだと思う。

 東京ドームでの巨人戦3連勝は2006年以来10年ぶり。当時、私はコーチとしてユニホームを着ていたが、あの年は投手力で勝った。今回は打ち勝っている。全ての投手を打ち崩しているのはすごい。

 ただ、中日は前のカードの阪神戦では2試合連続で零封負けと苦しめられた。その点では巨人の投手がだらしなさすぎると言えなくもない。次のカードのDeNA戦(10~12日、横浜)は最下位に低迷しているが、投手はそこそこ揃っている。この3連戦で中日がいい形で行けたら本当に乗っていくだろう。ビシエドに対して他球団は今後、徹底的にインサイドを攻めてくると思う。それに対してビシエドがどう対応するかが見もの。そこで崩れることがなければ1年間このままいい状態でやっていくだろう。

 中日の戦いぶりで気に入らないことが1つある。6日の第1戦、7回に5点リードで無死一、二塁で堂上にバントのサイン。第3戦では6点リードの8回、無死一、二塁で荒木にバントのサインを出した。あれはプロ野球というものに反してはいないだろうか。お客さんはどう思うか…。まして荒木はこの日、2安打している。乗っている選手をさらに乗せていくことも重要なベンチワークだろう。あまりにも選手を信用していないように見えてしまう。もっとベンチは選手を信じてあげるべきだろう。(本紙評論家)