早実・清宮 右肩負傷のまま遠征強行帯同…OBから「回復を待つべき」の声

2016年05月07日 05時00分

中堅から再び一塁に戻った清宮

 早実の清宮幸太郎(2年)がおかしい。3日間にわたる秋田遠征(3~5日)の全4試合にフル出場し、15打数4安打で打点はゼロ。期待された本塁打はついに飛び出すことなく終わった。今春から中堅にコンバートされていたが、右肩負傷で遠投ができず守備位置は一塁へ逆戻り。故障しながらも強行出場せざるを得ない怪物スラッガーの今後を心配する早実OBからは、とうとう遠征中止の声まで上がってきた。

 3日の八戸学院光星戦は2併殺を含む4打数無安打と再三チャンスを潰し、チームは4―9で敗れた。4日は雨でグラウンドコンディションが悪いなか7回制の2試合が行われ、第1試合の能代戦はまたしても4打数無安打に終わったが、相手投手の乱調に救われ8―3で勝利。続く能代松陽戦ではようやく内野安打と右翼線二塁打が出て6―1と快勝した。最終日の5日に行われた秋田戦は4打数2安打したものの、チームは1―6で敗れた。

 4戦で15打数4安打0打点と不完全燃焼に終わった清宮は「一昨日、昨日より多少よかったけど、まだ(調子が)戻ってこない。なんすかね、本当に申し訳ない。大した活躍もできずエラーもして。(秋田は)こんな打てない自分を温かく迎えてくれるいい人ばかり。いい3日間でした」と落ち込みつつも秋田遠征を総括。「もちろん第一はチームのためだけど、それがファンというか、来てくれた人たちのためになれば。いい当たりを打ちたかった」と最後まで自分を責めた。

 深刻な打撃不振に陥っている清宮だが、実は右肩を痛めている。その影響により、この4戦は春先からコンバートされた中堅ではなくすべて一塁手としてフル出場。早実の和泉実監督は「(春季東京都大会の)疲労からちょっと肩を痛めているが、塁間を放るくらいはやれている。(中堅守備のような)長い距離はまだだが、心配するようなものではない」と強調するが、本当に大丈夫なのか。

 春季東京都大会後、早実が組んだ4月の練習試合は4日間7試合。うち1試合は状態を見て欠場し、残りの6試合も大事をとってDHでの出場という特別措置がなされた。「(DH制は)もちろん、相手校の了解があってのこと。せっかく来ていただいて、清宮が打席に立たないんじゃ失礼になる。打つほうはまったく問題ないんだから」(和泉監督)と、チームとしては注目を集める清宮を外すわけにはいかないという事情もある。

 そんな状況に警鐘を鳴らす人物もいる。早実のあるOBは「中途半端に一塁を守らせるなら、いっそ欠場させるなり、遠征自体を中止して回復を待つべき。好調だった打撃にも影響が出はじめていないか」と危機感を募らせる。当の清宮本人は「右肩は大したことない。(バッティングには)関係ないです」と言い切ったが、昨夏の甲子園大会期間中に左手親指を骨折していたことを父・克幸氏が後日テレビ番組で明かしたという過去もあり、平静を装っているフシもある。

 とにかく、早実はこの日の試合後すぐに飛行機で帰京。6日は学校で授業を受け、その夜に次の遠征地の宮崎へたつという過密スケジュールが続く。今回の遠征のような招待試合で清宮が欠場となれば確かに相手校やファンは残念だろうが、仮に万が一のことがあった場合、球界の損失はあまりに大きい。

「いつでもどこでも歓迎していただいて、弱いチームを応援してくださって。僕らはもう一生懸命やるしかない。酷は酷だけど、それも含めて与えられたもの。少しずつ前に進んでいると思う」と和泉監督。手負いの強行出場で、球界の宝とされる清宮にアクシデントがないことを祈るばかりだ。