日米通算100勝を達成したドジャースの前田健太投手(28)に対する米メディアの賛辞は快投から一夜明けた24日(日本時間25日)も止まらない。23日(同24日)のロッキーズ戦に先発した前田は強力打線を相手に6回1/3を3安打無失点と見事な投球で、無傷の3勝目を飾った。メジャーデビュー以来4試合に先発して20回以上を投げ、1失点以下は史上初の快挙だ。防御率0・36はナ・リーグトップ。まぎれもなく史上最高の新人だ。

 メジャー屈指の攻撃力を誇るロッキーズ打線、舞台は打球がよく飛び、打者天国と呼ばれる標高1600メートルのクアーズ・フィールドだったが、前田には関係なかった。初回、先頭は開幕6戦7本塁打のメジャー記録をマークしたストーリー。カウント2―2からファウルで3球粘られたが、8球目のカーブで空振り三振に仕留めると波に乗った。持ち前の制球力で5回を無安打。

 6回一死で9番・ラメーヒューに中前打されると、連打で満塁のピンチを招き、打席は昨年42本塁打、130打点で2冠を獲得した3番・アレナド。カウント1―2からチェンジアップで二飛に仕留め、4番・パーラは投ゴロに打ち取り、切り抜けた。7回に先頭打者から空振り三振を奪ったところでマウンドを降りた。

 ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)は「前田がロッキーズを困惑」と題し、「彼はすべてのチャレンジに答えを出し、すべての難問を解決した」と褒めた。

 ドジャース公式サイトは「伝説が拡張 もうひと息でノーヒッター」と見出しをつけた。ボールがよく飛ぶクアーズ・フィールドで無安打無得点試合を達成したのは、1996年のドジャース・野茂英雄一人だけ。

「前田は同じ日本出身の野茂が演じたステージを再現していた」と伝え、逃した大記録を残念がりながらも、6回1/3の無失点快投を「これまで以上にシャープだった」と評価した。

 米スポーツ専門局ESPN(電子版)は「クアーズ・フィールドという山を征服した」と報じ、ロサンゼルス・デーリー・ニューズ紙(電子版)は「前田は自分の手で自身を上の階級へ押し上げた」と称賛。オレンジ・カウンティー・レジスター紙(電子版)は「相手チームが前田に順応するための期間はまだ5か月以上もあるが、彼は何にでもすぐに対応してしまう。このロッキーズ戦がいい事例だ」と前田の適応力に舌を巻いていた。

 好投が驚きではなくなった前田。マエケン旋風はまだ続く。