巨人は22日のDeNA戦(東京ドーム)に延長12回、1―1で引き分けた。先発したエース・菅野智之投手(26)は中指のマメが潰れるアクシデントに見舞われながらも7回無失点の圧巻投球を披露した。しかし、守護神・澤村が誤算。9回に痛恨の同点弾を浴びて菅野の4勝目をかき消し、“菅野頼み”の現実が浮き彫りとなった。

 1点リードの8回、投手交代のアナウンスに本拠地・東京ドームが大きなどよめきに包まれた。

 菅野は7回までを89球、6三振、無四死球で無失点。DeNA打線を2安打に封じ込める完璧な内容で1989年の斎藤雅樹(現二軍監督)以来となる3試合連続完封勝利まで、あとアウト6個に迫っていた。

 ところが、8回のマウンドにはエースではなくマシソンが上がった。菅野の27年ぶりの偉業達成は消え、多くのG党が首をかしげる中、マシソンは打者3人をピシャリと抑えた。しかし、9回から3番手で登板した澤村が先頭の代打・乙坂に152キロ直球をまさかの同点ソロ。その後は3者連続三振で切り抜けたが、延長戦で山口、田原誠の2人をつぎ込んだ末に試合は引き分けた。

 試合後の菅野は「2回からマメが潰れていた」と明かし「ここで無理をして次の登板で投げられないのでは意味がない。自分の中でつらい決断になった」と振り返った。

 ただ、首脳陣には菅野のアクシデントは早い段階で伝わっていた。尾花投手コーチは実母の葬儀参列のため不在で、菅野からトレーナーを経由して豊田投手コーチの耳に届いた。由伸監督も「(投球内容に)何も言うことはない。緊急というわけではないけど、いけるならいかせるつもりでいた」と語った。結果的に7回を投げ終えたところで菅野自身が続投を断念したが、ブルペン陣には十分に備える時間があったわけだ。

 そんな中で守護神が試合を振り出しに戻してしまった。「(3ボール1ストライクから)カウントを取りにいくようじゃ本塁打を打たれてしまう。チームが勝ちきれなかったのは僕のせい」と反省の弁を並べた澤村を、村田真一ヘッドは「引きずってもしょうがない。抑えはたまに打たれることもあるよ」とかばったが、チーム内はフォローする声ばかりではない。

 あるチームスタッフは「今年の澤村はキャンプでゆっくり調整していたところから、突貫工事で開幕に間に合わせたところがある。直球はまだまだ本調子じゃない。去年開幕したころは直球で空振りを取れたのに、今年はなかなか空振りを取れていない。クローザーに勝ち星が増えていくのは決して喜べたものではない」と眉をひそめている。

 澤村はこの日で11試合目の登板。“ハーラートップタイ”の3勝(0敗)、5セーブを挙げ、防御率1・46と数字だけ見れば安定しているようにも見えるが、同点に追いつかれたのはこの日で早くも3度目。今季の巨人は菅野の先発完投以外、ベンチもファンも安心できない試合が続いている。