「王超え」はならなかった。ソフトバンク・柳田悠岐外野手(27)が20日のロッテ戦(QVCマリン)で、1安打を放ったものの無四球に終わり、連続試合四球が王貞治(現ソフトバンク会長)と同じ18でストップした。

 記録更新がかかった最終打席でも柳田は初球を迷わず振りぬき、中前打を放った。もともと、こだわっていた記録でもないため、柳田は「また、明日から」とサッパリとした表情。工藤監督は「ここまで四球を積み重ねてきたのは、すごいこと。自信にしてもらってもいい」と話した。

 しかし、まだ19試合で四球25個とシーズン188個ペースの驚異の数字となっており、王会長が1974年にマークしたシーズン四球記録(158四球)を上回る可能性も十分残っている。そのシーズン新記録更新には2つの条件がありそうだ。

 まずは柳田の後ろを打つ内川と松田の状態。2人とも3割を超える打率だが、他球団スコアラーは「ヒットを打っても凡打に近いもの。状態は上がっていない」と分析。本紙評論家の前田幸長氏は「柳田の四球で走者はたまる。(内川、松田の状態が今よりも上がり)チームの得点能力が上がれば、柳田の四球は減るだろう」と話す。2人の調子が上向けば柳田と勝負せざるを得ないため、四球の数に影響が出る。2人の調子がイマイチなら、このままのペースで四球は増える。

 もうひとつのカギは柳田の盗塁数だ。現在はまだ3つ。32盗塁を決めた昨季に比べて少ない。「内川はヒットも打つけど、ゲッツーもある。去年より走らないなら、柳田から逃げて、次で勝負と考える球団も多いと思う」と前出のスコアラー。柳田の武器の一つでもある足を使えていないことも、四球増加の要因になっている。

 2つの条件がどうなるかによって、もう1つの「王超え」が決まりそうだ。