阪神が14日のDeNA戦(甲子園)に5―2で勝ち、広島と並んで首位に再浮上した。殊勲は6回に決勝打を放った“金本チルドレン”の一人、2年目・江越大賀外野手(23)だ。開幕はベンチスタートと辛酸をなめた男も今季すでに4本塁打と大砲候補として完全にブレーク。その原動力は「アニキ愛」だ。

 1―1の同点で迎えた6回一死一、三塁。3番・江越が駒大の1年後輩のDeNAドラフト1位・今永から右越えに勝ち越し二塁打を放った。この後、外野手争いのライバル・横田にも適時打が飛び出したが、この江越の一打が力投する先発メッセンジャーに今季2勝目をプレゼントした。

「(今永は)大学の後輩ということでやったりました! 自分はまだレギュラーだとは思ってない。1試合1試合これからも集中してやるだけです」。そんな頼もしい若虎に金本監督も「追い込まれたらバットを短く持ったりと工夫してくれた。そこは成長」と手放しで絶賛したほどだ。

 今季の江越は開幕一軍入りこそしたが、スタメン出場の高山、横田をよそに屈辱のベンチスタート。それが今では一気に覚醒。14日現在、規定打席未到達ながら打率4割4分、4本塁打、8打点とブレークしているが、その原動力が強烈な金本監督への思い、「アニキ愛」だ。

「監督には感謝してもしきれないくらいです。キャンプから他の選手よりも長い時間、指導をしてもらっていたので(オープン戦で)結果を残せなかったことがとにかく苦しかった。それで(3月4日のオープン戦)ソフトバンク戦後に二軍行きを告げられた時は正直、肩の荷が下りたんです。下に落としてもらったことで結果を意識せず、打撃の調子を取り戻すことに集中できた。これも監督から『整理する時間』をもらったことが大きかった。二軍まで見に来てくれたのもうれしかった」(江越)。金本監督は就任時から「あのフルスイングは魅力。とにかく江越を一人前にする。それは俺の仕事」と口にしてきた。これにも江越は感謝感激。そこまで期待してくれる監督のためにも、と奮い立ったのだ。

 すでに球団営業部では江越をさらに売り出すべく、新グッズ作製など大々的な“プロモーション活動”を本格化させようとしているが、本人に油断の2文字はない。「(金本監督への)恩返しはまだまだです!」と燃えている。