中日・高橋周平内野手(22)が31日の広島戦(ナゴヤドーム)で値千金の1号逆転満塁弾を放った。2点差に迫った7回、一死満塁で中田の高めの真っすぐを振り抜くと、打球は右中間スタンドへ飛び込んだ。「奇跡です。感触は良かった。とにかく強く振ろうと思い必死に打ちました」

 東海大甲府からドラフト1位で入団した大器もプロ5年目。「今年の周平は目つきが違う。去年までは言われたことだけをこなしていた感じだったが、自分で考えて動くようになった。何とかしなければ、の気持ちが伝わってくる」とチーム関係者は言う。しかし、谷繁監督は褒めるだけではなかった。「甘い球を一振りで仕留めたところに価値がある。形がものになりつつある」と言いつつ、8回の一死満塁で高橋が内角の直球にあえなく詰まって平凡な左飛に倒れたことに「あのへんがまだまだですね。あそこでもう1本、打点を挙げられるようになるといいんですけど、そこで打ち取られるようではまだまだですね」と苦言を呈した。

 この指揮官の反応について別の関係者は「監督は周平に今年こそ、一人前になってほしいと思っている。そのためにあえて厳しい言葉も口にしているんだよ」と話す。これも谷繁流の高橋育成の一環というわけ。高橋も「結果は出ているが、まだ始まったばかり」と口元を引き締める。指揮官に一目置かれる存在になるまで気を抜けない日が続く。