【薬物逮捕でアウト!番長の転落と闇(38)】17日夜に保釈されると千葉県内の病院に緊急入院した元プロ野球選手・清原和博被告(48)をめぐる世間の関心は、初公判(5月17日)までの動向に移った。覚醒剤取締法違反(所持、使用)の罪で法の裁きを受ける清原被告。保釈金500万円を納付して拘束を解かれた後に文書で発表したコメントでは、入院について「持病の糖尿病等の検査・治療のため」としたが、実際は“シャブ断ち”(薬物依存治療)なのは明白だ。しかも、さらなる理由があった。なりふり構わず病院に“逃げ込んだ”隠された事情とは――。

 2月2日の現行犯逮捕から44日ぶりにシャバに出た同被告を乗せたワンボックス車は、約500人の報道陣が待ち構える中、17日午後6時52分、東京・霞が関の警視庁本部から出てきた。

 同被告はシルバーのワンボックスカーの後部座席に乗っていたと思われるが、窓という窓に黒い布がかけられ、車内の様子はうかがえない。

 関係者によると「保釈前には伸びっぱなしだった髪の毛を警視庁内で切ったそうだ。勾留中は髪を染めることができず、このひと月半で白髪もずいぶん目立つようになった」。

 警察官30人以上が交通整理に当たり、清原被告のために周辺道路を封鎖する“VIP待遇”で銀座方面へ疾走。10台以上のバイクと30台以上の車、上空では6機のヘリコプターが追跡した。首都高速に入ると東京外環道を経て千葉県へ。

 保釈金500万円を同日納付した同被告は保釈にあたり、弁護士を通じてコメントを発表。事件について謝罪し、保釈後、姿を見せなかった理由を「警視庁から、周辺道路の安全を確保する必要があり、そのような振る舞いは差し控えるようにとご指導をいただきました」と説明した。

「いつか機会をいただき、直接皆様に謝罪したいと切に願っています」と後日改めて謝罪会見を開く意向だ。

 午後8時20分ごろ、清原被告が到着したのは千葉県内の病院だった。入院について清原被告はコメントで「持病の糖尿病等の検査・治療のため」としている。同病院には糖尿病内科があるが、別の関係者によると「当然、薬物依存治療も行うだろう。初公判の時に『更生に向け努力しています』とアピールする狙いがある」という。
 実は、入院の理由はほかにもあった。

「清原被告にうつの兆候が出ていて、目を離すと自傷行為に走る可能性があるため。取り調べでは捜査員の厳しい言葉に、どんより落ち込むことがあった。さらには警備面で安心なこと。闇社会とのつながりが指摘される清原被告はシャバに出た後、何らかの報復を受けるのではないかと恐れている。それに『マスコミが怖い…』ともこぼしているので、病院内ならばその点でも安心」(同)

 受け入れた病院は、清原被告が恐れているマスコミ対策については、確かに万全だった。

 警備の厳しさは清原被告を乗せたワンボックスカーが、病院の裏口にある地下駐車場へと入った時から見られた。追跡していた報道陣もその後を追おうとしたが、警備員4~5人が入り口でガード。さらにロープで規制した。

 鉄壁の警戒態勢を敷いた上に「病院として患者の存否はお答えすることができない」と話す渉外担当者は、今後についても「どんな人物がいても病院として会見を行う予定はない。今すぐ帰ってください」と報道陣を突っぱねた。

 病院を訪れていたカップルによると「ものすごいピリピリした感じでした。黒い服を着た人たちが何人も中にいて、ゴミ箱をあさって調べたり、侵入者がいないか探すように巡回したり…。清原が来たと報じられた時間にはエレベーターが止められて、いつもとはかなり違う異様な雰囲気だった」と驚きを隠さない。

 警備だけではない。同病院には、カテーテル手術を得意とする日本有数の名医もいる。

 清原被告が糖尿病の悪化だけでなく、発作的に自傷行為などに走っても名医によるチームが直ちに最良の治療ができるメリットは大きい。覚醒剤中毒と逮捕・留置生活でボロボロになった体と心を立て直すには、何よりの環境というわけだ。

 初公判は東京地裁で5月17日に開かれるが、それまでの入院生活で、清原被告がどこまで回復できるか?