秀岳館(熊本)の主将・九鬼が右手で引き当てた第4日第3試合の対戦相手は、夏春連続出場の花咲徳栄(埼玉)だ。

 最速145キロの左腕高橋昂を擁するチームに対して、就任2年目で甲子園入りを果たした鍛冶舎監督は「関東で一番良い投手だと思う。昨年の夏も経験している相手と思い切ってやりたい」と語った。

 NHKの解説者として20年以上座った放送席から初めてベンチで甲子園を体験する。

「雰囲気が違うと思います」と笑顔を浮かべた。

 穏やかな語り口だが、2つ勝てば強豪の大阪桐蔭(大阪)とぶつかる可能性があるとの質問に「次の試合を語った監督はすべて負けてるんです。『THIS GAME(目の前の試合)』に全力を尽くさないと」とマジメな顔で言い切った。

 九鬼も「とにかく目の前の試合を必死に戦って全力プレーしたい」と発言する一方で、2戦目以降は決勝まで4日連続試合になることを気にして「キャッチャーとしては(連投する)投手が心配」と語る冷静さも持ち合わせている。

 チームの仲間たちは血気盛ん。「抽選で開幕戦を引いてこいという人もいました」(九鬼)というから、すでに臨戦態勢だ。花咲徳栄の岩井監督が「(試合の)最初は静かに入ろうと思います」と言えば、鍛冶舎監督は「それなら、うちは初回から最終回か延長戦の気持ちでやります」と応じた。

 九州大会ではプロ注目の九鬼が打率5割超えを達成しただけでなく、チームも全4試合で2ケタ安打をマーク。投手も140キロ台の速球派が3人揃い、守備も盤石だ。優勝候補の一角として「THIS GAME」に臨む。