巨人で発覚した新たな賭博問題が球界に波紋を広げている。高木京介投手(26)の野球賭博への関与告発から一夜明けた9日、都内の球団事務所では本人が謝罪会見を開いた。一方、福岡入りしている一軍本隊は、ソフトバンクとのオープン戦に臨んだ。涙で頭を下げたチームメートの姿は、彼らの目にどう映ったのか。そして“5人目”は現れるのか。匿名を条件に取材に応じた主力選手が、賭博を巡る現場の知られざる実情と、球団の対応への疑問、複雑な心境を告白した。

 球団による告発会見があった前日は外出禁止が発令され、選手たちへは報道陣との接触もなるべく避けるよう言い渡されていた。そのためか、ナインの表情は固く、口も一様に重かった。

 それでも、個々に思うところはある。今回はある主力選手が本紙の取材に赤裸々な本音と実情を明かした。まずは球団の厳しい措置について「こういう状況ですから仕方ないし、当然でしょう」と理解を示した上で「それよりも心配なのは、こういう状況がいつまで続くのかということ。選手もお互いの生活まですべて把握しているわけではないし、もう他に(野球賭博に関与した関係者は)いないと信じたいけど…」と不安を吐露した。

 最近は週刊文春に笠原、松本竜が立て続けに登場し、内情を暴露。選手も動揺を隠せないなかで、今度は高木京の問題が発覚した。福田も含め、実は野球賭博で名前が挙がった4人には、内部の者にしかわからない共通点があったという。

「ジャイアンツ球場のクラブハウスのロッカーは、おおまかなポジションごとに4つほどに仕切られているんです。そのうちの1つが、4人を含めた投手の固まる場所でした。だから今になって思えば、そこが(野球賭博に手を染める)温床になっていたのかもしれません」

 問題の4人については「残念だけど、擁護はできません。野球賭博がダメなことぐらいは、プロ野球選手である以上、知っていなければいけない。将生(笠原)と竜也(松本)の記事も、読んで悲しくなりましたよ」ときつく言い放った。

 ただ、球団側の対応にも疑問を感じているという。

「京介の件があってから『携帯電話を全員回収される』という話も出ていますが、効果は不明だし、実際にやれば雰囲気は最悪になる」とした上で「そんなことより大事なのは、関与を認めた選手へのアフターフォローなのでは。将来や金銭的に不安な選手を『もう関係ないから』と追放すれば、そこに週刊誌や悪い人間が群がることは簡単に想像がつく」と厳しく指摘した。

 午後5時半から始まった高木京の謝罪会見は、福岡でも数局が生中継。その直後に試合に臨んだナインの多くは、宿舎へ戻ってからニュースで目にしたことだろう。

「実は来月、京介には子供が生まれると聞いています。そういうことも彼が悩んだ一因になったのでしょう。だって、認めればクビですからね。一筆取った上で、野球を辞めても食っていける仕事を用意するとか、いろいろと方法はあったはずです。今になって『(笠原が)調査に応じてくれない』と言ってもね。多少のフォローはないと、本人たちはなかなか切り出せないんじゃないでしょうか」

 本来なら、球界は開幕へ向けた話題で一色のはずが、巨人ではグラウンドの話題はそっちのけ。「成績やプレーの内容で叩かれるのは結構。でも、こんな問題で騒がれるのはプレーヤーとしては悲しい」と語った主力選手。いつになれば巨人に平穏は戻ってくるのか。