広島躍進に必要なのは“精神的支柱”

2012年10月31日 16時00分

<連載:広島カープはなぜ失速したのか(上)>2012年の野村カープに足りなかったものは――。広島は指揮官就任3年目の今季、昨年から順位を1つ上げ、4位に終わった。主力の離脱がありながらも、若手が奮起して前半戦を3位でターン。初のCS進出に向け快進撃を見せたが、勝負がかかった9月に入ると急ブレーキ。一時は貯金「2」まで盛り返したカープはなぜ失速したのか。収穫と悔しさの残ったシーズンを振り返る。

「毎回同じようなことばかりだが、誰かがではなくて自分がドンと穴を開けるつもりでやらないと。チャンスで萎縮しているように見えてしまう」。シーズン終盤の敗戦後、野村監督のコメントは同じ内容に終始した。球団史上初のCS進出に向けた勝負の9月。しかし、プレッシャーからか打線全体が一気に貧打に陥った。結局この月、4点以上取って勝った試合はわずか2試合だった。

 開幕前、指揮官は「うちの選手たちは一度、不調になるとみんなが一斉に悪くなってしまうところがある」と懸念していた。昨季も50イニング無得点という不名誉なセ・リーグ記録をつくってしまうなど“負のスパイラル”が続いてしまう傾向があったからだ。

 それでも栗原、東出、ニックと相次ぐ主力の離脱で危機に陥った際には思い切って抜てきした天谷、岩本、堂林など若ゴイが大当たりで期待に応え、球宴前には最大11あった借金を完済。貯金までつくる大躍進を遂げた。しかし、若さと勢いだけではシーズンは乗り切れず、一度落ち込むと抜け出すことができない“病気”が一番大事なところで発症してしまった。

 勝負どころでのメンタル面の弱さといってしまえばそれまでだが、勝敗を背負うことができる選手が少なかったのかもしれない。今季、圧倒的な強さを誇った巨人には阿部、けが人続出ながらも3位に入ったヤクルトには宮本――上位チームには大事な場面で頼れる“精神的支柱”が存在した。栗原不在とはいえ、カープ打線で代わりにキャプテンシーを発揮できる選手は最後まで現れなかった。

 既にチーム内からも「リーダーになれる選手をつくっていかないといけない」という声は出ている。今季は137試合に出場した7年目の梵がナインを集め選手ミーティングを行うなど、その芽は出つつある。来季の躍進のためにはリーダーの出現が条件になる。