ムネリン越えるお祭り男が必要

2012年10月31日 16時00分

【名物アナ山下末則のスポーツ末広がり】

 時あたかも巨人—日本ハムの日本シリーズ対決一色の野球界。来年のことを言えば鬼が笑うかもしれないが、ソフトバンクが2013年シーズンを制して日本シリーズを戦うことを熱望し、春から始まった連載の最終回にあたり一筆啓上——。

 実は今年、ヤフードームの実況席から気になっていたことがあった。それは内野陣の「ボール回し」である。昨年までの松田、川崎、本多、小久保のそれは明るく、スピード感、躍動感にあふれて、見ているものをほれぼれさせた。今年の内野陣がダメだったというわけではないが、何かが違った。それは、明るさ。川崎の底抜けの明るさがボール回しに欠けていたような気がする。

 今年、川崎とはタイプが違うが、ムードメーカーとしてお祭男・松田が存在感を示していた。しかし、シーズン中盤にケガで戦線離脱。選手会長の本多、主将の小久保、内川らが懸命に盛り上げ役をかって出ていたが、川崎のあの天真爛漫ともいえる明るさには及ばななかった気がする。

 2年前、日本一に輝きながら、今季限りで退任したロッテの西村前監督が「去年、今年の不成績は西岡がメジャーに行ったのが痛かった、日本一になれたのは彼がムードメーカー役をかって出たおかげだ。彼がいなければあそこまでチームは盛り上がらなかった。ソフトバンクのコーチもベンチのムードメーカー川崎が抜けたことを嘆いていたよ」とシーズン終盤に話していたのを思い出す。

 どんなチームスポーツでも必要なのはチームリーダーとムードメーカー。特にチームが苦境に陥った時には、ムードメーカーの果たす役割は大きい。かつての巨人で言うなら、現DeNA監督の中畑清がそうだった。彼のボール回しもオーバーアクションで元気があり明るかった。中畑は「歌うムードメーカー」。川崎は試合前、チアリーダーと一緒に「踊るムードメーカー」だった。

 ソフトバンクの内野手に川崎に負けず劣らずの明るいムードメーカーが出現することを期待したい。そのことがチームの勝利に大きく貢献すると思う。

 ☆やました・すえのり=1948年3月14日生まれ。福岡県北九州市出身。宮崎放送を経て、81年に日本テレビ入社。巨人戦実況を中心に、スポーツアナウンサーとして活躍。テレビ野球中継初の槙原投手の完全試合を実況したことでも有名。箱根駅伝のメーンアナウンサーを8年間務め、陸上競技にも精通している。08年に日テレを退社。現在はフリーアナウンサーとしてソフトバンク戦や海外ゴルフの実況で活躍するかたわら、ビジネスマン研修会社を経営している。