【デスクと記者のナイショ話】

 デスク:昨季限りでソフトバンクを退団して移籍先を探していた松中信彦内野手(42)が、引退を決断したな。

 遊軍記者:興味を示していた球団がなかったわけではないんですがね。

 デスク:どこが?

 記者:広島は、かなり真剣に考えていたようですよ。何といっても平成唯一の3冠王で通算成績も1767安打、352本塁打、1168打点の大打者ですからね。獲得を検討した球団は他にもあったと聞いています。

 デスク:でも、結局はどこもオファーを出さなかった。獲得に踏み切れない理由があったのか?

 記者:自主トレ中の元チームメートへの打撃指導です。

 デスク:恒例のグアム自主トレでは柳田に内角打ちを伝授していたし、本多の自主トレに顔を出した際には下半身主導の打撃フォームをアドバイスしていた。でも、それのどこが問題なんだ?

 記者:実際に助言を受けた選手にとっては、ありがたいことだったと思います。ただ、あるパ・リーグ球団の編成担当者は「あれをチーム内でされたらかなわん」とリストから松中の名前を完全に消したと話していました。

 デスク:先輩が後輩にアドバイスをしたらダメだっていうのか?

 記者:指導者とかOBという立場なら問題はないでしょう。あと、監督やコーチが了承済みだったら。ただ、一選手として指導してはコーチの立つ瀬がないし、チームとしてのバランスも崩れてしまう。それを嫌ったようです。特に松中の場合は過去の実績からも説得力があるだけに、かえって煙たがられたのかもしれません。

 デスク:気心の知れた後輩へのアドバイスがアダとなるとは…。まあ、実力勝負のプロ野球といっても、優先されるのは組織だからな。