一軍昇格の阪神ドラフト1位ルーキー・高山俊外野手(22=明大)が24日、沖縄・読谷村のチーム宿舎に入った。昨年10月に受けた右手首手術の影響から二軍調整してきた東京六大学史上最高の“安打製造機”は「死に物狂いで一生懸命やるだけ」と決意表明。レギュラー争いとともに鳥谷ら主力組との関係も深めていく気だが“浪速の春団治”こと川藤幸三OB会長は「先輩に好かれようとするな! かわいげのない選手になれ!」と何とも物騒な猛ゲキを飛ばした。

 一軍キャンプ休日となったこの日、遅ればせながら一軍合流を果たした高山は「掛布二軍監督からは『もう俺の顔を見ることがないような成績を残してくれ』と言われ、頑張ります、と答えた。恩返し? もちろん、その気持ちはあります」「意気込みは死に物狂いで一生懸命やるだけ」「開幕一軍? まずは自分の力を100%出してアピールしていきたい」など決意表明した。今後はキャンプ最終クールの実戦2試合(25日の日本ハム戦、27日の韓国・ハンファ戦)に出場予定で、3年目の成長株・横田らとのシ烈な外野手争いを繰り広げることになる。

 そんな高山に何とも物騒な猛ゲキを飛ばしたのが、今年も虎のキャンプを連日視察する川藤OB会長だ。「高山には先輩からかわいがられるような選手にはなるな、と言いたい。長いこと、この世界、この阪神を見てきたが、かわいがられようとか考えるヤツに一人前になったもんはおらん。逆に先輩選手から顔を向けてもらえるような実力ある選手になることが優先。もともとがクソ生意気な性格なら、そのままで大いに結構。気に入られようとか、余計なことを考えてたら(先輩の)パシリにされて終わりや」

 嫌われ者にでもなれ…とも受け取れるが、決してそうではない。「一軍では誰も助けてくれるヤツなんかおらん。ワシの新人時代は“シカト”されて当然。今は優しい声をかけてくれるんが増えたけど、でも、本音は別や。この新人は役に立つのか、そうでないのかを見る。ダメなら違う意味でなれ合いでかわいがられて終わり。力のある本物なら先輩は最初、近寄ってこない。でも、結果を出すことでまた一目を置かれ、それが互いの本当の信頼関係となる。だったら最初から合わそう、なんて考えん方がいいのや」というわけだ。

 二軍では掛布二軍監督から「トリプルスリーを狙える」「ヨシノブ(巨人・高橋由伸監督)以上だ。俺よりも上かもしれない」など、これでもかの“ホメ倒し指導”を受けてきた高山。だが、川藤会長に言わせれば「それは二軍だからで、そんなもん、一軍で言われるわけがない!」。もちろん、期待が大きいからこその猛ゲキだが、この「金の卵」がどれだけやれるか、注目だ。