【大下剛史・キャンプ点検=ソフトバンク】2年連続で日本一を達成したソフトバンクは今季もV大本命だ。本紙専属評論家の大下剛史氏も「ほっといても日本一」とV3に太鼓判を押すほどだが、昨季、就任1年目でチームを頂点に導いた工藤公康監督(52)に“宿題”を課した。実現できれば球史に残る名監督になるというその中身は――。

 大下氏:就任1年目で何もせんヤツが日本一になった。

 工藤監督:いいじゃないっすか。(選手)みんながやってくれました。

 大下氏:陰で支えてくれた家族にも感謝せんとな。

 工藤監督:していますよ。悪さはまったくしておりません。えへへ。

 大下氏:バカッ!(笑い)。それはそうと今年はどうや?

 工藤監督:ここまではいい感じにきています。デホ(李大浩)はいなくなりましたけど、昨年はケガに泣いた長谷川が今年は元気なんで。

 大下氏:サードの元気なの(松田)が残ったのは大きい。

 工藤監督:そうですね。ムードメーカーなので。

 大下氏:ワレの性格だったら、メジャーに行かしてやりたいっていう気持ちもあったんじゃないのか?

 工藤監督:夢という部分では…。でも、監督としては残ってほしいと思っていました。

 大下氏:ワシの広島商の後輩(柳田)がケガしとるって? 40―40(40本塁打、40盗塁)をやるって言ってるヤツ。

 工藤監督:ケガっていうか、オフに右ヒジの手術をして二軍でリハビリをしています。でも、打つほうは大丈夫ですよ。もう打席にも入っていますし。

 大下氏:あの馬力はすごいよな。

 工藤監督:すごいですね。今年はもう一回り大きくなっています。

 大下氏:あれだけ(昨年のトリプルスリーで)注目されたから、精神的にも人間的にも大きくなっている。ああいう選手を使うのがうまいよな。

 工藤監督:僕はどっちかというと選手の思い通りにさせてやりたいと思っているので。

 大下氏:現役時代は自由にやってきたし、監督になって選手を締め付けたらおかしいよな。

 工藤監督:全然締め付けてないっすよ。

 大下氏:そこが偉い。ところで契約は何年や?

 工藤監督:3年です。

 大下氏:3年が終わったら再契約か?

 工藤監督:先のことは分かりませんが、野球をやっているときは「長くやりたい」と思っています。楽しいんで。

 大下氏:楽しい?

 工藤監督:はい。よく言うじゃないですか、監督になると胃薬がいるとか睡眠導入剤を飲まないと眠れないとか。僕はまったく飲んだことがないんです。

 大下氏:変わっとるのう。まあ、若いころから変わってたな。

 工藤監督:変わってましたか?(笑い)。

 大下氏:野球界をいい方向に変えていく旗頭だ。コーチや裏方の待遇改善にメスを入れることができれば、球史に残る名監督になる。うそじゃない。

 工藤監督:ありがとうございます。

 大下氏:選手はもとより、監督もまあまあ待遇はいい。問題は下支えしてくれているコーチや裏方の待遇を良くすることよ。

 工藤監督:必要ですよね。

 大下氏:朝から晩まで働いてくれとるんじゃけ。

 工藤監督:僕も朝から晩まで働いていますよ(笑い)。

 大下氏:おまえはようけもらっているんだろ?

 工藤監督:朝から打撃投手もしていますよ。

 大下氏:もう一度、現役で投げてみようとは思わんか?

 工藤監督:いや、ないですね。全力で投げたら10球ももたないです(笑い)。

 大下氏:話は戻るが、選手が良くなっているのはコーチ連中が優秀だからこそ。こういうことは誰かがやらないといかんし、日本一になった監督ならできる。

 工藤監督:日本一になったらぜひ。

 大下氏:ほっといてもなるよ。ワレが変なことをせんかったら。

 工藤監督:えへへへ。