【大下剛史・キャンプ点検＝中日】今年は厳しい戦いを強いられるのではないか…というのが、中日に対する正直な感想だ。現在はＧＭを務める落合監督の時代には強力な投手力を武器に守り勝つ野球で黄金期を築いたが、今のチームには“これ”というものが見当たらない。

　せめてリリーフ陣だけでも充実していれば戦いようもあるのだろうが、昨季は成長を期待されていた福谷が伸び悩んだ。セットアッパーの浅尾に復調の兆しが見えているといっても、いいときの浅尾ではない。岩瀬もしかりだ。ドラフト１位ルーキーの小笠原は楽しみな存在だが、左ヒジに爆弾を抱えている。そもそも高卒の新人を１年目から頼りにするのは酷というものだ。

　昨季限りで山本昌をはじめ、現二軍監督の小笠原や和田ら実績のあるベテランがごっそりと引退した。若返りを図ったのはいいが、さして若手が育っているというわけではなく、現時点では打順がどうなるのかも想像がつかない。捕手にしてもそうだ。ここ数年は「ポスト谷繁」の育成が課題とされてきたが“帯に短したすきに長し”で一本立ちにまでは至っていない。投打とも外国人頼みになりそうな雲行きだ。

　３年目を迎える谷繁監督は今年から監督専任となる。選手ばかりでなくコーチ陣も若返ったなかで、どういうかじ取りをするのか。うまくスタートを切れればいいが、心配は尽きない。　（本紙専属評論家）