阪神・藤浪晋太郎投手(21)が11日、沖縄・宜野座キャンプでの紅白戦に先発し、2回無失点の好投を見せた。初実戦ながら最速156キロをマークするなど、自身初の開幕投手に向けて猛アピール。そんな虎のエースの好仕上がりに他球団007はがっかり。“もくろみ”が外れてしまったという。

 電光掲示板に表示された球速にファンからどよめきが起きた。初回、一死走者なしから打席に北條を迎えての初球。藤浪のうなりを上げたボールは156キロを計測だ。その後、北條には左前打を浴びたものの、打たれた安打はその1本のみ。藤浪は「結果としてはよかったが、まだまだ。6割も仕上がっていないと思う。ストレートの質は今日も良くなかったので上げていきたい」と話したが、金本監督は「それだけのものを出してくれた。対戦するバッターがかわいそうだ」と絶賛した。

 そんな右腕の投球に他球団007は「あれだけレベルの高いピッチャーなので驚きはない」(巨人・樽見スコアラー)、「普通に投げられればなかなか打てない」(広島・玉山スコアラー)と話したが、本音は皆がっくりという。藤浪は昨シーズン後に右肩炎症が発覚し「プレミア12」を辞退。それだけに「炎症にまでなったのは自身初めてじゃないかな。箇所が箇所だけに回復はしていても本調子まで戻るのに時間がかかるかもしれない」(他球団関係者)と、後遺症による出遅れの期待を抱いていたからだ。

 実は阪神内にも中4日登板やリーグ最多の7完投をした昨年の蓄積疲労から「今年はキャンプからその影響が出るんじゃないか」と心配する声もあったのだが、藤浪がいきなり圧巻の投球を披露したことで他球団の思惑はパー。「この時期にここまで投げられれば問題ないんだろう」(前出の関係者)と一気に落胆せざるを得なかったわけだ。

 今回、志願で実戦登板した理由について藤浪は「日程的にちょうど紅白戦だった。シート打撃でもよかった。打者に投げたかった。打者との間合いとかを感じたかった」と説明したが、図らずも雑音を封じるための最高の“デモンストレーション”。やはりこの男はどこまでも頼もしい。