11年ぶりのV奪回に燃える阪神は沖縄・宜野座キャンプをスタートさせた。あいにくの雨のなか「超変革」をスローガンに掲げる金本知憲監督(47)は各ナインの調整具合に満足げだったが、舞台裏では「カミナリ第1号」を落とした。しかも相手は選手ではなくトレーナー陣だった。

 金本監督は精力的に動いた。ブルペンに出向いて投手陣をチェックし、打撃練習では期待の2年目・江越に約1時間の熱血指導。初日を終えた指揮官は「思った以上に選手たちの状態がいい。ちゃんと準備をしてきてくれた」と目を細めた。

 しかし、事件はウエートルームで起こった。金本監督の発案で今キャンプからウエートトレーニングも練習メニューの一部に導入。

 初日から自らも足を運んだが「トレーナーが探りながらやっていたので、そこはビシッといった。やらせないといけない。『何を探り探りやっているんだ!』と。今日からフルでやるように準備してくれと言ったのでね」と、その場でトレーナー陣を叱り飛ばしたのだ。

 強靱な心と体を持つ選手の育成を目指し、昨年の秋季キャンプでもトレーナー陣に「選手を甘やかすな!」と、過保護にならないよう“スパルタ指令”を出した指揮官。それだけに今回、キャンプ初日だからと手心を加えた「一件」に怒り爆発というわけだ。

 これには権田トレーナーも「担いでいる重量(ベンチプレス)と、そのフォームを見られて全体的に重量が低いんじゃないかという指摘があった。12、1月という準備期間があったにもかかわらず、体重に比べて重量が低い選手がいたので指摘されても仕方ない。しっかり追い込ませないといけない」と猛省した。

 そればかりか「監督とは朝もどれくらいの量をやるか細かく打ち合わせしていたんですが…。この後もミーティングでしょうね」(チーム関係者)と宿舎ではこの一件の“反省会”も行われることになったという。

 金本監督の妥協を許さない姿勢。今回、その怒りの矛先はトレーナーに向けられたが、指揮官の求めるレベルまで準備ができていない選手がいるということでもある。それだけに次はナインが標的になってもおかしくない。