昨年V逸の責任を取って監督を退任し、フロント入りした阪神・和田豊オーナー付シニアアドバイザー(SA=53)が18日“虎のCIA”として金本監督ら現場を後方支援していくことを宣言した。すでに宿敵・巨人など他球団の春季キャンプ偵察が決まっているが、その「隠密活動」は、それだけではないという。
この日(18日)は阪神の1985年日本一と87年の最下位を経験したメンバーで集う恒例の「天地会」が兵庫県・有馬温泉の料理旅館「旅籠」で開催された。OBで日本一監督の吉田義男氏(82)が「われわれの望みは金本監督が強い軍団をつくってくれること。監督も(プロ)4年目でレギュラーをとって鉄人になった。そういう選手を育ててほしい。(復帰した)藤川らも皆、競争。実力で判断してもらえばいい。(同会メンバーで昨年亡くなった)中村GMのためにも頑張ってほしい」とエールを送るなど大いに盛り上がったが、注目されたのは同会メンバーで、昨年限りで監督を退任した和田SA。今季から“虎のCIA”として尽力することを宣言したのだ。
「現場に介入することはないけど、オーナー付のアドバイザーになるんで野球に関して求められることはしっかりできるようにする。阪神で31年間やってきたし、他球団の情報も一軍だけでなく二軍も、そしてアマチュアから独立リーグまで幅広く見て集めていく。他球団の練習方法もそうだし、自分なりに気がついたことをシーズンに入るまでにオーナーら球団に伝えたい」
現段階では編成面でのイニシアチブはとらないが、和田SA独自の情報や視点が今後の金本阪神に役立てられることは多いだろう。監督としては優勝を飾れなかったが、もともと、現役時代から「研究者」タイプでコーチとしては2003年の星野監督、05年の岡田監督の優勝に貢献した。「実際、今でも選手の力量を見る目は十分ある」(フロント幹部)との評価は変わっていない。すでに巨人をはじめ、他球団の春季キャンプ視察が決定。早速、その手腕が期待されるが、何も“隠密の仕事”はそれだけではない。
和田SAは「野球だけでなく、他のスポーツも見ていく。自分が若いころにやっていた剣道とか大相撲。団体競技も大事だけど、ウチのチームは1対1、打席での駆け引きとか勝負がかかったチャンスに弱い。それはなぜなのか、何をプラスにしないといけないとか、ヒントを探していきたい」と他競技にまで仕事を拡大することを明言した。昨年のV逸でファンの期待を裏切った和田SAだが“虎のCIA”として手腕発揮となれば「超変革」を目指す金本監督も大喜びするに違いない。