広島・新井貴浩内野手(38)に“風紀委員”としての役割が待っている。8年ぶりに古巣に復帰した昨季は125試合に出場し打率2割7分5厘、7本塁打、57打点と獅子奮迅の活躍。野手では倉に次ぐ年長者ながら、貧打に悩むチームの中で勝負強さを発揮した。その働きぶりが評価され、契約更改では4000万円増の年俸6000万円(推定)を勝ち取った。

 かつて年俸が2億円を超えていた新井にとってはまだまだな額かもしれないが、日本人選手では5番目。ただ、それだけ増額しても、これまで通り寮住まいを続けるという。新井の“ストイック生活”続行を球団側も歓迎ムードだ。

「こちらとしても、このまま寮に残ってもらったほうがいい。彼がいることで他の選手もヘタなことはできないし、若手にとって身近な相談役としても頼りがいがあるはず。いつまでいてもらってもいい」(球団幹部)

 新井が寮にいることが大きなメリットになる。そのため今後どれだけ年俸が上がっても、寮生活を認めると構えだという。

 野球界では賭博問題が起き、これまで以上に選手の自覚が求められている。また、赤ヘルのチーム事情としても、大州寮にいる若手の活躍は不可欠だ。そこで新井の真面目な生活態度や厳しい目は重要な役割を果たすというわけだ。

 契約更改の席では「今年は自分のことで精一杯だった。1年間チームメートと接してみてこの子はどういうふうに考えてこだわっているのか分かってきた。2年目になるし、自分にできることがあればやっていこうと思う」と話していた新井。寮の“風紀”もその腕にかかっている。