西武二軍に思わぬ難題が持ち上がっている。

 21日、豪州ウインターリーグから帰国した昨年のドラフト2位・佐野泰雄投手(22)が契約更改交渉に臨み、現状維持の1200万円でサインした。佐野は「即戦力として期待してもらって2試合しか投げれなかった悔しい1年。来年はチームの勝利に貢献できる投手になりたい」と日焼けした顔を引き締めた。

 その一方で帰国早々、左腕を悩ませているのがわずか1年での退寮問題だ。佐野は「新人が入寮してくる1月の初旬までに部屋を空けないといけない。明日にでも(不動産屋に)行って住む場所を探してきます。寮に住めなくなるのはめっちゃ痛いですよ」と、休む間もなく部屋探しを開始している。

 西武では今秋ドラフトで指名した大量10選手のうち、妻帯者の5位・南川忠亮投手(23=JR四国)ら社会人2人を除く8人が西武第二球場に隣接する若獅子寮に入寮予定。その部屋数を確保するため現在、同寮に入居中の7人が球団から退寮を命じられている。

 その中でも割を食っているのが、わずか1年で退寮を余儀なくされている佐野と外崎修汰内野手(23)、2年目の山川穂高内野手(24)ら13、14年ドラフト大学生組だ。チーム内には「バリバリ一軍で活躍しているならまだしも、まだ一軍に定着すらしていない1、2年目の選手が通いになるデメリットは大きい。特に食事面は問題。1日5000キロカロリーを取れるように管理されていた寮の食事が取れなくなり毎日、外食やコンビニ弁当に頼らなければならなくなるわけですから」と寮生と“強制退寮者”の環境格差を懸念する声が少なくない。

 球団には現在、駐車場として使用されている旧第三球場跡地に新設寮、室内練習場建設計画もあるようだが、実現はまだまだ先の話。「豪州で毎日自炊だったので料理の腕も上がったと思う。これを一人暮らしでも継続していきたい」と佐野は謙虚に語るが、早期の退寮はプロ野球選手としての今後にどういう影響を与えるのか。(金額は推定)