巨人・村田修一内野手(34)が生き残りをかけて2016年のシーズンに挑む。15日は家族を伴って神奈川県立こども医療センターを訪問。入院児らを激励し、来季の奮闘を誓った。だが、新体制となったチーム内での立場は、今季以上に危うい。移籍後守ってきた三塁の定位置には、続々とライバルが出現。追い込まれた男は“外様の運命”にあらがえるのか。

 横浜時代から継続している恒例の訪問に、今年は初めて家族が付き添った。今季(クライマックスシリーズを含む)の安打数(79本)と同じ79万円を「ささえるん打基金」として寄付し、低体重児として生まれ、同院に入院していた自身の9歳の長男・閏哉(じゅんや)くんと病棟を慰問。新生児集中治療室(NICU)などを約2時間かけて回った。

 涙を流して入院児を激励する長男の姿に、村田も「閏哉の大きくなった姿を見せられてよかった。今の僕があるのは閏哉のおかげ。気持ちを引き締める意味でもよかった」としみじみ。来季も同様に1安打につき1万円を積み立てる。家族や病院関係者が見守る中「今年はヒットが少なかったので頑張ります!」と力強く宣言した。

 ただ、村田を取り巻く状況はかつてなく厳しい。今季は故障も響いて103試合出場にとどまり、打率2割3分6厘、12本塁打、39打点と寂しい数字。「三塁に関してはこだわっていきたい」と語ったが、定位置には来季2年目の岡本が台頭。ロッテからクルーズも加入し、レギュラーの座はいよいよ危うくなっている。

「そういう状況を招いたのも自分の責任。もう一度、レギュラーを勝ち取るつもりでやっていきたい」と意気込んだが、球団内では「監督交代は起用を見直すいいきっかけ。村田も結局は外様だし、生え抜きの主軸を育てたいと話している由伸監督は思い切って岡本を三塁で使うのでは」との見方が広がっている。

 来季は3年総額10億円の大型契約最終年。周囲では、早くも来オフの去就を気にする声もある。この日の訪問に付き添った妻・絵美さんも「来年で契約が切れますからね。巨人で野球人生を終えたFA選手は、これまで2人しかいない(川口和久、金城龍彦)とかも聞きますし…」と心配げな表情だったが、本人はどう考えているのか。

 先日の契約更改の席では「40歳までやりたい」と語っていたが、この日は「40歳まで? でも、レギュラーじゃなくなったら仕方ないですからね。(どうするかは)まだ、わかりません」と意味深な言葉を残した。

 年明けの自主トレは初めてグアムで行うことを決めた。坂本、長野に加え、レギュラーを争う岡本とも寝食を共にすることになる。「普通にやれば(岡本より)僕の方が先に引退するでしょうし、せっかくやってきたキャリアがある。それを渡さずに去る必要はない」と自分の全てを受け渡し、後輩と勝負する覚悟を示したが…。

 レギュラーの座を追われた外様選手には容赦ないのが巨人。これまでFA移籍してきた多くの選手が、“晩年”は追われるように他球団へ移籍していった。先人たちと同じ道をたどるのか、それとも“男・村田”の健在を示すシーズンとなるのか。背番号25が野球人生の岐路に立たされている。