中日の岩瀬仁紀投手(41)が7日、名古屋市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、野球協約の減額制限(1億円超は40%)を大きく超える83%ダウンの5000万円でサインした。2億5000万円減は2013年の小笠原(巨人)の3億6000万円減に次ぐ史上2番目の数字だ。

 今季は左ヒジの違和感で公式戦登板なし。それでも落合GMに「投げられるなら来年やりたいです」と訴え「おまえの好きなようにしろ。いつまでも待ってやるから」と認められた。11月26日の球団納会で「契約をお願いします」と伝え、現役続行が決まった。和田や山本昌、川上などが現役に未練を残しながら、いずれも落合GMから「契約しない」と言われ泣く泣くユニホームを脱いだのに比べるとかなりの厚遇と言える。

 いったいこの違いは何なのか。「岩瀬は落合GMが監督時代の8年間で抑えを務めた功労者。でも、それだけじゃない。今年ほど岩瀬がいないことがチームにとってどれほど大きいか分かった年はないからね」と球団幹部。岩瀬に代わる抑えを任されたのは福谷だったが、失敗続きでシーズン途中に二軍落ち。その後も抑えを確立することはできなかった。「岩瀬は球威は落ちてもタイミングを外す投球術がある。何よりハートが強い。いてくれたらベンチは助かる」とその力が再認識された。

 さらに「岩瀬はかつてリリーフ失敗にくよくよしていた浅尾に『そんなことを気にして抑えなんかできるか!』と叱咤したことがある。あの経験は若い投手に必要」(チーム関係者)とリリーフ投手の“メンタルコーチ”的な期待もある。現役続行は決して温情だけではなく「年俸5000万円の価値あり」ということだろう。(金額は推定)